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NPO法人IFE

日本語教師の窓

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お便り 83 - 10月後半

藤波先生 編

2010年10月16日(土)授業再開

今日から授業再開です。とは言っても、まだ水が完全にひいたわけではないので授業の出席はとらず、授業の内容も復習がメインです。

市川先生と相談して、今タームは基本的には新しい項目を勉強するのではなく、今までの知識を補強する期間として位置づけました。教師も生徒も前に進みたいものですが、いちど立ち止まって、今までの内容を確認するのも大切なことです。授業内容も、普段よりも会話の時間を増やしたり、普段の授業ではなかなか扱えない表現なども教えられたらと思っています。

水は確実に減り続けています。とにかく、授業が再開できたことがうれしいです。

藤波

2010年10月18日(月)NPO展示会

パレード今日から金曜日まで、コトヌ市内にあるサッカースタジアムの敷地内で、ベナンのNPO・NGOの展示会が行われます。各団体がそれぞれに小さなブースを与えられ、その中に写真をはったり、DVDを流したり、体験コーナーを設けたりして、自分達の活動を紹介するという趣旨です。審査もあって、優秀な展示をした団体には賞金が贈られることになっています。

IFEも昨年に引き続き、参加しました。今年は私と市川先生が中心になって展示の内容を考え、飾りなども作りました。実際にお客さんにIFEの活動を紹介するのは、数名の生徒やダベデさんやボサさんといったIFEのベナン人スタッフです。

今日は、展示にさきがけてパレードも行われました。スタジアムから約徒歩20分程の場所からスタートし、路上を横断幕を持って大人数で歩きました。パレードの開始はいつも通り2時間遅れでしたが、天気もよくて、なかなか気持ちがよかったです。パレードがスタジアムに到着した後は、開会式のようなものが行われ、それから各団体が展示の準備を始めます。今日はまだ準備がメインで、本格的に展示会が始まるのは、明日か明後日からのようです。私達日本語教師も、授業の合間を縫って毎日スタジアムに通う予定です。

藤波

2010年10月20日(水)NPO展示会

IFEのブース今日は午前中、スタジアムでの展示会に参加してきました。3日目ともなると、敷地内のブースもだいぶ埋まってきました。大体20団体くらいはいるでしょうか。

どんな団体がいるかというと、農業の発展のために活動してる団体や、ベナンの伝統的な薬を製造、販売している団体や、ベナン人の健康のために活動している団体や、赤十字や、女性の権利のために活動している団体、あとはベナンのアクセサリーや服を販売している団体もあります。全部の団体が非営利というわけではなく、しっかりものを売っている団体が多いです。このお金が学校を建てたり誰かのために使われるのか、それとも完全に商売なのか、その辺はよくわかりませんが、とにかくいろいろな団体がいます。

さて、ジャパンハウス周辺の洪水は、かなりおさまってきました。まだ歩いて渡るのは無理ですが、車高の低い車やオートバイでも通れるくらいの水かさにはなりました。しかし、まだときおり雨が降ります。乾季で水不足になって断水したり停電したりするのも困りますが、水がありすぎるのもやっぱり困ります。何事もほどほどが一番いいということですね。やっぱり。とりあえず早くこの水がなくなるといいなと思います。

藤波

2010年10月22日(金)あきれました

今日でNPOの展示会が終わりました。今日は午後6時頃で展示が終わり、その後は審査結果の発表を兼ねたパーティがありました。スタジアムの外にテーブルと椅子が並べられ、展示会に参加した団体がそこで表彰を受け、食事をとるのです。

パーティ私もIFEのスタッフと一緒に参加しました。しかし、今日のパーティはちょっとひどかったです。

午後7時に会場に来るようにというアナウンスが主催者側からあったのにも関わらず、会が始まったのは9時半過ぎです。食事が出てきたのは11時です・・・。他にもいろいろなことがあって、さすがにあきれました。

例えば、主催者側に時間を守る気がないことや、段どりの悪いことや、バイキングのテーブルに我先にと殺到する人々や、ものや食べ物を粗末に扱う態度や、食べカスを平気で床に捨てることや・・・。私は比較的適応力がある方だと自分では思っていて、ベナンに来てからもその適応力に助けられている部分は多々あります。しかし、ここまでいろいろなことが重なると、ちょっと呆れてしまいます。もちろん、こんなことでベナンを嫌いになったりはしないし、こんなところで働きたくない、などとは思いませんが、それにしても今日のパーティはちょっと私の中の許容範囲を超えていました。

というわけで、今日のパーティは普段の3倍疲れました。

藤波

2010年10月23日(土)因数分解の教訓

最近、たけし日本語学校は日本語を教えるだけでなく、人材育成にも取り組もうとしています。つまり、将来のベナンを背負って立つようなリーダーを育てたい、という野望があるわけです。これは日本のIFEの代表である山道さんの考えで、実際に山道さんは日本にいるベナン人留学生達を育てるためにいろいろなことをされています。その流れの中で、やはり最前線基地であるこのたけし日本語学校でも人材育成に取り組んではどうか、ということになったのです。

もちろんその人材育成にかかわるのは私と市川先生です。私は他人を育成する前に自分を育成した方がいいんじゃないかという疑問を抑えつけながら、最近はそのプロジェクトに取り組んでいます。

授業風景そういう流れの中で、たけし日本語学校は少しずつ変わり始めています。今までは、日本語を勉強したい方は welcome という方針で、試験や出席もかなりあまくつけていたのですが、最近はかなり厳しくなりました。目的はどうあれ、真剣に日本語を勉強したい人だけが残る、というシステムに変わりつつあります。システムを変える前は、「大丈夫かな」と思っていましたが、実際に変えてみると、以前よりも学校の雰囲気が引き締まって、よくなりました。生徒の遅刻も減り、授業もやりやすくなりました。

最近はクラス毎のレベル調整もしています。分かりやすく言うと、少し遅れている人は補修クラスに出てもらったり、とても遅れている生徒には下のレベルに下がってもらったりということです。わからない授業に参加するのはその生徒にとって時間の無駄です。

テストの結果や宿題の提出状況などをもとに、生徒と話すわけです。「下のクラスに移りませんか」と。これはなかなかいやな仕事ですが、やらねばなりません。しかしながら、やっぱりプライドの高い生徒もいて、「いや、私はこのクラスに残ります」という人もいます。とってもよくわかります。その気持ちは。でも、自分の実力を認めて下にクラスに行って、そこでもういちど頑張った方が絶対にいいんです。だって、今のクラスではもう取り返しのつかないくらい遅れをとっているんだから・・・。

そういう生徒と話していると、中学生の時の自分を思い出したりもします。大した優等生でもないのに見栄をはって、何となくわかっているふりをして、数学の因数分解のテストで5点をとってしまった自分の苦い経験が思い出されて、ちょっと胸が苦しくなります。因数分解、本当は全然分かってなかったんですよね、あの時の僕は。でも、自分がわからないってことを認められなかったんですね・・・。見栄とかプライドは、成長するためにある程度は必要だと思うのですが、やりすぎはいけません。

というわけで、因数分解の教訓をいかに生徒に伝えるか、今後もそれに苦労することになりそうです。

藤波

2010年10月26日(火)宿命

たけし日本語学校が2003年に開校してから今まで、20名以上の生徒が日本へ留学しました。7年間、この学校で働いてきた先生方と、日本のIFEスタッフ、そしてゾマホンさんの努力の賜物です。

今、私がこの学校で留学生を選抜したり育てたりする役になって、この学校の、というかベナン人の宿命のようなものを感じています。

私はイギリスに2年ほど留学しましたが、その時は自分のために行きました。日本の国益のために、などという考えは微塵もなかったように思います。しかし、たけし日本語学校では、「将来、ベナンのために働く」という考えがない人はなかなか日本へ行くことができません。もちろん、幸運にも両親がお金持ちで、自費で留学できるような人は自分のために留学するということも許されるわけですが。

私は、自国の外に出ることはそれだけで何かしらの意味があることだと思っています。ですから、たいした目的がなくてもとりあえず外に出たい、というのも「あり」だと思っているのですが、たけし日本語学校の生徒にはそれは許されません。正確に言うと、そういう理由で日本に行きたい生徒をサポートするほどの余裕がないということになります。もちろん、たけし日本語学校に通っている生徒全員が、将来国のために働く、という明確なビジョンを持っているわけではありません。むしろそういうビジョンを持っている人は少数派と言えるかもしれません。ただ言葉や文化に興味があるから日本語を学んでいるという生徒もたくさんいます。そういう生徒の中で、自分の専門の力を伸ばし、それを国の発展に役立てたい、という人たちが日本へ行くわけです。

そういうことを考えると、自分自身のためだけに留学した自分はちょっと恥ずかしいような気分にもなります。

藤波

2010年10月29日(金)ついに

今日の朝、ジャパンハウスに出勤してきた、秘書のダベデさんからうれしい知らせが届きました。ついに、ジャパンハウスの周りに道路に歩いて渡れる程の陸地が出現したらしいのです。今まで、1ヶ月以上にわたって、徒歩でジャパンハウスの外に出ることはできませんでした。

水があろうがなかろうが、基本的に私と市川先生は自由に外に出ることはなかなか難しいのですが、それでも徒歩でコピー屋くらいは行けました。片道10分程の散歩がそれなりの気分転換になっていたのです。しかしながら、この一か月間はそれさえも許されない状況で、それなりにストレスはありました。これでやっと行きたい時にコピー屋に行けます。ほんとによかった〜。

藤波

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