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お便り 122 - 2013年11月
倉益先生 編
「先生~先生~」
突然私を呼ぶ声が聞こえたので外に出てみると、何やら怪しいサングラスをかけて立っているイレネーさんの姿が。
「あれを見てください」
と、ふいにサングラスを手渡されようやく気がつきました。
「あ~~~、今日は日食の日だ~!」
そういえば去年は東京で見たっけなぁ、なんて思い出しながらサングラス越しにしばし観賞。前回は仕事中で十分に見ることが出来ませんでしたが、今年はなんのその。心ゆくまでベナンの空を見上げていました。
インターネットから離れた生活を送っていると、強力な情報源はもっぱら生徒達です。学生や教師、店員、裁判官、エンジニアなど、みんな職業も興味関心も様々なので色々な情報が集まります。そして面白いです。
「先生、日本で今日はお月見ですね!」と言われたときは、すっかり忘れていただけに何だか恥ずかしくなりました。と、同時にススキを隣に白いお団子を食べた遠~い昔の記憶がよみがえってきました。
毎日暖かいベナン。日本のように季節の移ろいを感じることは少ないですが、その分(?)宗教を楽しむ風習が多くあるような気がします。キリスト教の日曜礼拝やイスラム教のタバスキ(砂糖祭)、ブードゥー教の新年などそれぞれが自分達のイベントを楽しみ、そして大切にしているようにみえます。教会のすぐ近くにモスクがあったり、「お父さんはイスラム教ですが、私はキリスト教です」という生徒がいたりで、なかなか日本では見ることがない光景が広がっています。
そして、宗教と並んで多様性が伺えるのが言語です。公用語のフランス語はさることながら、フォン語、ダサ語、ミナ語、ヨルバ語・・・などなど。60近い言語があるそうです。「フランス語を使うのは学校だけです。」という生徒もいれば、「父がフランス語の先生なので外でも家でもずっとフランス語を話します。」なんていう生徒もいます。「父とはミナ語で、母とはフォン語です。兄弟とはいろいろミックスで、両親同士はフランス語で話しています。」と聞いたときは、思わず「夢は何語で見ますか??」と聞いてしまいました(彼の場合はフォン語だそうです)。また、初めて会った人どうしが同じ村出身だと分かると、パッと表情が明るくなりフランス語からコロッと自分達の言葉に切り替えたり(替わったり??)するのです。母語を共有している、ということがここベナンでは何か大きな意味を持っているような印象を受けました。
小さいころから色々な言語に慣れ親しんでいる生徒達。そんな彼らとの毎日の授業は、日本語を教えるというより一緒に学んでいるといった感じです。
生徒に、そしてこのような機会を与えてくださった全ての方にこの場をお借りしてお礼を申し上げます。
ありがとうございます!
そして、あらゆる宗教や言葉、文化が混在するベナンだからこそ見ることができる一面を楽しみ、これから皆様にお伝えしていければと思います。
どうぞよろしくお願いします。
2013年11月19日 ベナンより
ベナン写真館(学校での1コマ)