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日本・ジブチ外相会談
4月3日(金)、中曽根外務大臣は、北東アフリカ・ジブチ共和国のユスフ外務・国際協力大臣と会談を行った。
会談で、両外相が「ジブチ共和国における日本国の自衛隊等の地位に関する日本国政府とジブチ共和国政府との間の書簡」の署名、および交換を行った。これにより、ソマリア沖で海賊対策として護衛を行う海上自衛隊員らが円滑に活動できるよう、方的な地位を確保することが可能になった。この3日後には、ソマリア沖、アデン湾で活動している海上自衛隊の護衛艦2隻が、ジブチ港に入港した。
またこれとは別に、食糧援助と一般無償資金協力「ラジオ・テレビ放送局番組作成機材計画」に関する交換文書に、両外相は署名した。食糧援助は、ジブチの厳しい食糧事情緩和のためのもので、供与額は8億6000万円となっている。また、一般無償資金協力は、唯一の放送局(国営)に対し、放送設備や機材の調整を行うために必要な資金を供与するもので、その額は9億2500万円である。ジブチは印刷媒体よりもテレビ放送が主要な伝達媒体であり、教育、保険、農業、産業において重要な役割を担っている。
外相会談において、日本政府は、今後もジブチを基本的な活動拠点にしたいとの考えがあることを伝え、ジブチ側も必要なときには協力することを述べた。また、ジブチとしても、ソマリアの海賊問題に積極的に取り組みたいと考えており、日本にも協力してほしいとしている。
ところで、ソマリア沖の海賊が国際問題になる中、海賊被害による船舶の保険料が上がり、ソマリア沖・アデン湾に近いジブチ港の2008年の貨物取扱量が前 年比で半減している。これにより、ジブチの経済に大きなダメージを与えている。海賊対策にとどまらず、ソマリアという国を再建することが海賊問題の解決に つながり、周辺海域の治安も安定し、周辺諸国の経済安定にも結びつくものとなる。国の再建には、日本・ジブチ二国間のみならず、国際社会の協力が必要とさ れるところだが、現在のところ、ソマリアの国家再建に取り組む計画は、国際社会においてまだ明確化されていない。