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エチオピアの首都・アディスアベバという街
エチオピアの首都はアディスアベバ。アディスアベバとは、エチオピア固有の言語のアムハラ語で、「新しい花」を意味する。この街には、アフリカ連合(AU)の本部も置かれている。アディスアベバの主要道路沿いや公園、大学を中心に、多くの花が咲いていた。道路沿いにはそれほどゴミが落ちておらず、清潔感を感じさせるところもある。
アディスアベバは、アフリカの中でも最も標高の高い首都のひとつで、海抜2500メートル前後の高地に位置している。そのため、普段日本にいる感覚で走ったり、階段を駆け上がったりすると、数秒のうちに息が切れてしまう。また、密封した日本のお菓子の袋も、気圧の関係で大きく膨らむ。それくらい空気の薄いところである。さらに、高地ということで日光が非常に強く、簡単に日焼けする。ただ、日中の気温は30度を上回ることはそれほどなく、日陰なら非常に快適だが、朝晩は10度以下まで気温が下がり、厚手の服が必要になる。2月は乾季でかなり乾燥しているのもあり、夜に部屋に干した洗濯物が翌朝には乾いてしまう。
アディスアベバの人口はおよそ300万人で、これは大阪市の人口を上まわる規模である。市内は人と車であふれており、中層、高層ビルも比較的多く見受けられる。市内の主要道路もかなり整備されており、片側2車線はあたりまえで、最も広いところで片側7車線の道路もあった。
市民の足は、ミニバス。トヨタハイエースを中心としたワゴン車を改造し、10人程度のお客を乗せて、市内のいたるところを走っている。ルートは決まっているが、日本のような路線図やバス停などはなく、初心者が乗りこなすのは大変である。ミニバスの初乗りは、現地の価格で0.65ブル、日本円でおよそ6円と非常に安価である。そのほかに路線バスもあるが、路線はより複雑で、初心者が乗るにはミニバス以上の労力が必要である。
市の北西部に、マルカトとよばれる巨大な市場がある。東部アフリカ最大規模の市場とも言われ、どこまでも問屋や商店が続く。衣料品、靴、民芸品、食料品など、あまりにも多くの品数に圧倒されるほどでる。非常に広く、また路地などが複雑な構造になっているので、現地の人がいなければ迷子になってしまうこともある。
マルカトの近くに、エチオピアの銀座ともいわれるピアッザという場所がある。ここは、金・銀細工の装飾品のお店が連なっているところである。ミリ単位の細かな細工に、初めて見た者はその精巧さに驚くことだろう。なぜ、精巧な金・銀細工の装飾品があるかというと、エチオピア帝国時代に、金・銀細工の職人らが皇帝らの装飾品をつくっていた歴史があるからである。その技術が現在にも受け継がれているのだ。日本ではあまり知られていないが、エチオピアの精巧な装飾品に、ピアッザで出会うことができるだろう。
少々断片的なアディスアベバの紹介となったが、アディスアベバはこのように、アフリカ諸国の中でもかなりユニークな要素を含んだ都市である。また、治安も比較的よいので、海外旅行の基本的な注意さえ守っていれば、街歩きをするのにも問題はない。こういったアフリカの都市を探検するのも、アフリカを知る上で面白い側面のひとつであろう。
(平成21年2月13日~27日取材)