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NPO法人IFE

日本語教師の窓

July 2012 の記事一覧

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お便り 121 - 6月前半

笠井先生 編

2012年6月10日(日)最後のテスト

今たけし日本語学校はテスト期間真っ只中です。そして今月末に帰国する私にとっては、これが学生に課す最後のテストとなります。

試験監督をしながら、私のベナンでの仕事が終わりに近づいていることを実感しました。この 1年は、あっという間に過ぎたような気もするし、ものすごく長かったような気もします。とにかく言えることは、今までの人生の中で最も濃密な 1年だったということです。大げさかもしれませんが、授業を終えるたびに『自分は生きている』と実感できる日々でした。

帰国を前にして、ベナンへ来られたことが本当に幸せなことだと感じています。ベナンへ来なければ、私にとってベナンは、アフリカはずっと遠い世界のままでした。自分とは切り離された、テレビの枠の中の世界でしかなかったと思います。

学生と、ベナンの人々と、この 1年という時間を共有できたことは、私の生涯の宝になると思います。自分の目で見たこと、耳で聞いたこと、頭で考えたことを忘れずに、生きていきたいと思います。

これから自分がどのようにベナン、アフリカと関わっていくのか、それはまだわかりません。しかし、この 1年間で出会った人とのつながりを大切にして、細く長く交流を続けていければと思っています。

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お便り 120 - 5月後半

永田先生 編

2012年5月20日(日)日本語能力試験

英語を勉強している人がTOEICを受けるように、日本語を勉強している人にも大きなテストがあります。それは「日本語能力試験」。しかし、残念ながらベナンでは日本語能力試験を実施していないため、たけし日本語学校の学生は、ベナンでこの試験を受けることができません。それでも、彼らはこの試験の存在を知っているため、自分のレベルが、この試験でいうとどのぐらいなのか、実は知りたがっています。

日本語能力試験というわけで、今回は2008年の過去問を使って、受けたい人は実際にやってみよう、という日を作りました。西日が射す暑い中、数人の生徒たちに旧 4級(現在のN5レベル)の過去問をしていただきました。本当にみんな頑張って試験をしたので、私は試験実施中、せっせと台所でおにぎりをたくさん作って、試験終了時間に合わせて教室に持って行き、「お疲れ様でしたー!」とみんなに声をかけましたが、そんな高いテンションなのは私だけで、全員教室でぐったりとしていました。長時間のテストがはじめてだった人が多かったため、かなりしんどかったようです。「疲れました」「長いです」など、短めの言葉が交わ される中、おにぎりを配ってしばし閑談。その後、採点をしましたが、けっこうみんないい点数で、合格ラインを超えている生徒はたくさんいました。後日、試験結果を彼らに伝えましたが、やはり「本当のディプロマがほしいです。」との声が。ほかにも旧 3級(現N4)の合格ラインを超えている生徒もいるし、是非 ベナンで勉強しているみんなにも本当の日本語能力試験を受けるチャンスがあればなぁ〜と考える今日この頃でした。

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お便り 119 - 5月前半

笠井先生 編

2012年5月1日(火)ことば

暦もとうとう5月。私の任期もあと 2ヶ月となりました。今日は平日ですが、メーデーで授業がお休みなので、この機会にベナンの「ことば」事情について書いてみたいと思います。

ベ ナンでは公用語のフランス語に加え、フォン語、ダサ語、バリバ語、デンディ語など、50近い現地語も人々の生活の中で使われています。現地語は多様で、隣 の町では全く違う言語を話し、互いの現地語では意思疎通が取れない場合もあります。異なる現地語を母語に持つ人同士の橋渡しとして、フランス語が機能して いるという状況です。

現地語が家庭内で教えられるのに対し、フランス語は学校で教育が行われます。フランス語教育は小学校 1年生から始められます。そして特に 1年生の間は 1週間30時間の時間割のうち、ほとんどがフランス語教育に当てられます。こうして子ども達は現地語とフランス語のバイリンガルになっていくのです。日本 の子どもが英語を学ぶのと大きく違う点は、フランス語が日常に溢れている環境にあるということです。テレビをつけても、CDを聞いても、新聞を見ても、本 を読んでも、ヤイボニ大統領のスピーチを聞いても、フランス語が目や耳に飛び込んできます。また子どものフランス語教育に熱心な家庭では、家庭内でもフラ ンス語を使うようにしているそうです。今後は現地語が話せない子どもが増えていくのかもしれません。

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お便り 118 - 4月後半

永田先生 編

2012年4月28日(土)先入観

あるクラスで、ペアワークで情報の違う教室内の絵を生徒にわたし、A:「○○さんは、どの人ですか。」B:「○○さんは、寝ている人です。」みたいな会話をさせる、インフォメーションギャップのアクティビティを15分ほど行いました。A役の人に探してほしい人は「ミン」さん。ところが、A役のある生徒が「ミラーさんはどの人ですか。」とB役の生徒に質問しています。わたしが「ミラーさんは絵の中にいませんよ。」と言うと、A役の生徒は「あっ、いつもミラーさん、ミラーさんですから・・・」と言ってミラーさんをミンさんに訂正して質問しておりました。「ミ」から始まる名前を見ると、つい条件反射で、生徒は「ミラー」さんだと思うようです。アクティビティでもミラーさん・・・。恐るべし。

2012年4月29日(日)ひっくり返される

怒涛の週末授業がやっと終わった〜、と日曜夜のクラス終了後、ほっとしていると、「先生〜これはなんですか。」と、ある生徒が教室の外から緑のたらいを持って、教室へ戻ってきました。あっ!そのたらいの中には亀の浦島さん!!夜のクラスの時間帯は浦島さんのおやすみタイムなので、生徒たちには紹介していませんでした。突然起こされた浦島さんは、生徒によってまず、たらいからつまみ出され「ベナンで亀は食べられますよ。」と言われながら、次に甲羅をひっくり返され「手のここを切って・・・でもこの亀は小さいですから食べられませんね。」などと言われ、食料ネタにされました。あ〜もうほっとしている場合じゃない。わたしのペットが危険な目に・・・。ひっくり返されている間、浦島さんはもはや引きこもって、目を閉じ一瞬たりとも動きません。「この亀の名前は浦島さんです。わたしのペットですから食べないでくださいね。」と説明し、生徒たちによって浦島さんは教室横の定位置に戻されました。今のところ、亀は絶対に食べたくないです。

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