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NPO法人IFE

日本語教師の窓

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お便り 68 - 3月前半

藤波先生 編

2010年3月1日(月)ベナンの電気事情

ベナンは電気を他の国から輸入しています。ベナン国内にも発電のための設備はあるようなのですが、その発電所だけでは国内の全ての電力を供給することができないので、例えばトーゴなどの近隣諸国から電気を買っているのです。

自分の国で使う電気を国内でつくれないというのは、なかなかつらいことだと思います。もちろん日本も石油や食料を大量に外国から輸入しているので、そういう状況はベナンと同じと言えます。

しかし、電気を長い距離送るとなるとさすがにロスも大きいでしょうし、他の国で何か問題が生じて発電ができなくなるとたちどころにベナンもその影響を受けてしまいます。何年か前にベナン政府は、電気の自給率を上げるべくガス発電用の施設を建設し、機械等も輸入したそうですが、現在それは稼働していないそうです。なんでも、すぐに壊れてしまって使い物にならなかったとか・・・。政府の詳しい状況はわからないのですが、道路とか電気とか水とか、その辺は早急にがんばってほしい所だなと思います。それからもちろん教育も。しかし、この国で生活していると、その道は果てしなく長く険しいもののように感じてしまいます。

藤波

2010年3月2日(火)フォン語の授業

毎週火曜日の朝、私と山下先生はフォン語の授業を受けています。先生は、JKLMクラスのジェラさんです。フォン語はベナンの言葉で、ベナン国内で一番話者が多い言語です。特にベナンの南部ではフォン語が多く話されています。

ベナンの公用語はフランス語ですから、テレビ番組や会議、イベント等で使われる言語は全てフランス語です。しかし、日常会話では民族の言葉も多く使われます。それでも使われている割合はフランス語の方が少し多いような気がします。私は、どんな場面でフランス語が使われ、どんな場面でフォン語が使われるのかいつも観察しているのですが、また明確な答えは出ていません。最初はまじめな話をする時はフランス語で、世間話をする時と喧嘩する時はフォン語が使われるのではないか、という仮説を立てていましたが、どうやらそういうわけでもなさそうです。ただ自信を持って言えるのは、日本人にあまり聞かれたくない話をする時はフォン語が使われます(笑)。別に悪口を言っているわけではないと思いますが、意外と相手に聞かれたくない(相手が知らない方がいい)話というのは多いもので、そういう時に仲間内だけで通じ合える言葉を持っているのは便利だなと思います。

とにかくそのフォン語を勉強しているわけですが、英語ともフランス語とも全然違うので、なかなか大変です。現時点では全然は話せません。ただ、フォン語と戯れている、という感じです。こういう言葉を勉強していると、生徒が日本語を勉強する大変さが身にしみてわかります。生徒にとっての日本語は私にとってもフォン語みたいなものだと思います。しかも日本語には「漢字」という厄介なものまであります。生徒の大変さが何となくわかるというだけでも、フォン語を勉強している価値はあるのかな、などと思いながら、授業を受けています。

藤波

2010年3月3日(月)牛追い祭り?

捕獲された牛今日、ジャパンハウスの前の道で、ちょっとした騒ぎがありました。

昼過ぎ、私は自分の部屋で夜の授業の準備をしていました。なんだか外が騒がしいなと思っていたら、いきなりジャパンハウスの秘書兼お料理係のベロちゃんが「先生!!!」と大声で私を呼びました。

あまりにも切迫していて、しかも楽しそうな声だったので、こいつはなにかハプニングが起こったなと思い、素早く外に出て、屋上に駆け上がりました。屋上から下の道を見ると、そこには大きな人垣ができています、そしてその真ん中にいるのは、「牛」でした。

牛捕獲の瞬間何かのお祭りで使う予定だった牛が逃げ出してしまったらしいのです。牛はかなり気が立っている様子で、いろんな所に向けて突進を繰り返しています。トタンの壁に頭から突っ込み、「ガシャン」という音があたりに響き渡ります。そして、周りにいる人たちは楽しそうに逃げ回っています。そのうち、数人の男達が縄をもって現れました。その中にはなぜか、ジャパンハウスの運転手のイレネさんもいました(笑)。どうやら、「縄を牛の足に引っ掛け転ばせよう作戦」が開始されるようです。何度か縄を足に引っ掛けようと試みますが、その度にうまくかわされ、怒った牛が突進する、という状況が続きます。そしてついに、牛の足に縄がかかりました。縄が強くひかれ、牛は「ドテ」という感じで地面に転がりました。そして、大歓声、拍手喝采です。

牛はその後、縄で足を縛られ、どこかへ運ばれて行きました。今回の捕獲作戦で大活躍だったイレネーさんは「おれがあいつを転ばしてやったんだぜ〜」と言ってとってもうれしそうでした。

私はいわゆる高みの見物でしたが、非常に楽しかったです。今日もベナンは平和です。

写真は、牛が捕獲された瞬間と、それを取り囲むご近所のみなさんです。ちなみに写真の中で、うれしそうにどこかを指さしている黄色いシャツの男性がイレネさんです。

藤波

2010年3月6日(日)葬儀

今日は、生徒のお父さんの葬儀に出席するために、コトヌーから車で2時間半程の距離にある、パオヤンという村へ行ってきました。同じクラスの生徒数名とバスで行きました。

葬儀は屋外で行われたため、非常に暑かったです。約2時間程の葬儀に出席し、生徒にあいさつをして帰って来ました。それにしても、最近はいつもにも増して「○○さんの家族がなくなった」というニュースを聞くことが増えたような気がします。やはり、乾季の天候も影響しているのでしょうか。雨が降らず、常に気温が常に高いこの季節はベナン人にとっても大変な季節なようです。

藤波

2010年3月7日(日)暑い

当り前のことなんですが、毎日暑いです。太陽の日差しが痛いです。ベナン人も暑い暑いと言っています。特に暑いのは教室とジャパンハウスです。教室はドアと窓がないので、涼しそうな感じがするのですが、コンクリートで作られているので、昼間の授業は非常に暑いです。先生も生徒も汗だくです。

しかし、夜外に出ると、風は若干涼しくなっているような気がします。夜の授業が終わってから屋上に上がると、夜風が気持ちいいです。ただ、残念ながら風がない夜も多いわけですが・・・。

ここに2年近くすんでいる山下先生によると、今の大乾季を経験すると雨季の6月あたりは天国のように感じる、とのことでした。とりあえず、天国目指してがんばりたいと思います。

藤波

2010年3月8日(月)生徒が好きな話題

JKLMクラスの皆さんたけし日本語学校の生徒は愛の話や恋の話、そして下ネタが大好きです。これはおそらく、たけし日本語学校の生徒やベナン人に限ったことではなく、全世界的な傾向だと思うのですが、詳しく調査したわけでもないので、とりあえず「たけし日本語学校の生徒は愛の話や恋の話や下ネタが好きです」ということにしておきたいと思います。

もちろん四六時中そんな話をしているわけではありませんが、ふとした時に話題がそういう方向にいった場合、本当に楽しそうに話し始めます。もちろん日本語で話すのですが、その時の表現の仕方が面白いのです。

例えば、明日の朝早く生徒と会う用事がある時、私はその生徒に「○○さん、明日遅れないで下さいね」というようなことを言います、すると生徒は「ん〜先生、私は今夜ベッドのスポーツをしますから、明日早く起きられません」などと言います。この表現は比較的によく聞く言い方ですが、ある生徒は、「すみません先生、私は今晩ベッドで泳ぎますから、明日早く起きられません」という表現を使いました。私は、ちょっと感心してしまいました。「ベッドで泳ぐ」、なるほど、という感じです。

以前このブログ上で「希望は生命保険」という生徒の書き初めについて紹介しましたが、今回の「ベッドで泳ぐ」にしても「希望は生命保険」にしても、そういうセンスあふれる(と私には思える)言葉に出会えるのは日本語教師の役得だ、と私は思っています。

写真は、特に下ネタ好きが多いJKLMクラスの皆さんです。

藤波

2010年3月9日(火)コネの世界

ベナンで仕事を探す場合、コネがとても重要らしいです。特に政府系の機関や、国営企業への就職はほとんどコネで決まるらしく、ある国営企業が10年近く一般への求人を出していない、という信じられないような事実もあるようです。欠員が出た場合、知りあいや家族でそれを埋めてしまうため、一般に求人を出す必要がないのです。

大学生が卒業後に就職できるかどうかは、実力があるかではなく、コネがあるかにかかっているようです。当然のことながら、優秀な人材よりもコネを優先する組織にいい仕事ができるわけもなく、それによる弊害もいろいろと出ているようです。

単純に考えて、能力のある人に仕事をさせないのは国にとって大きなマイナスだと思うのですが、なかなかその状況は変えられないようです。似たようなことは日本にもあるのかもしれませんが。

いつも真面目に日本語を勉強している生徒が、コネがなくて職にありつけないというような状況を見ると、せめてチャンスくらいはあげてほしいと思ってしまいます。国や企業のトップにいる一部の人とその関係者だけがいろいろな恩恵を受けているというのが現在の状況なわけですが、なんとかその状況が改善されないと、今後いろいろなことを良くしていくのは難しいのではないだろうか、と思ってしましまいます。

藤波

2010年3月10日(水)マラリア

なんと山下先生がマラリアにかかってしまいました。最近、体調が悪い日が続いていたので念のため病院へ行ってみたところ、軽いマラリアという診断を受けたそうです。

「マラリア」という言葉を日本で聞くと、「なんだかとても恐ろしい病気」という感じがしますが、ベナンではそこまで深刻な病気としてはとらえられていません。ただ「非常に厄介な病気」であることはたしかで、かかってしまうと体のだるさや発熱、吐き気などの症状が強く出て、完治するまでに時間がかかります。生徒もよくマラリアにかかっていますが、本当につらそうです。

山下先生のマラリアは比較的軽いものだそうですが、それでもかなりつらそうです。マラリアを媒介する蚊はそこら中にいますが、それでもその中でマラリアの菌を実際に持っている蚊は数百分の一とか数千分の一というような確率でしか存在しないらしく、蚊に刺されたからといって即マラリアにかかるというわけではありません。しかし菌を持っている蚊も確実に存在するので、その蚊に出会うかどうかは運次第ということになるわけです。

今回山下先生は運悪くその蚊にあたってしまったわけですが、とりあえず完治するまでは無理せず、休養することに専念してもらいたいと思います。

藤波

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