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お便り 69 - 3月後半
藤波先生 編
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2010年3月16日(火)苦情
最近どうやら、日本からの荷物がうまくベナンに届かないようです。私が日本から郵便で送ってもらった荷物も届きません。前任の先生が日本から送って下さった荷物も届きません。イギリスの知人から送ってもらった郵便も届きません。届く確率は5割というところでしょうか。
郵便があまりに信用できないので、日本から宅急便で送ってもらった荷物は、こちらの営業所に届いていることが確認できているにもかかわらず、「手続き上の理由」とかで何回営業所に足を運んでも荷物を受け取れません。ものすごい金額の関税を払ったのにも関わらず、です。この状況にはちょっと呆れてしまいました。
何回も郵便局に行ったり宅急便の営業所に行ったりするのは、本当に時間の無駄ですが、フランス語の練習にはなります。苦情を言うのは本当にいい練習になるんです。そういう場合は秘書のダベデさんやドライバーのイレネーさんが一緒についてきてくれるのですが、とりあえず自分が言いたいことはできるだけ自分で言うようにしています。
しかし、どれだけ文句を言っても相手は「だって仕方ないじゃん」という態度を崩そうとしません。誰が文句を言っても、答えはいつも「だって仕方ないじゃん。もう少し待ってよ。」です。前回は「もう3回も来て、お金も払ったのに荷物が受け取れないというのは、おかしいでしょう?」と文句を言ったら、「3回?それじゃ足りないわ。30回は来ないと受け取れないわよ。」と言われてしまいました。私は思わず笑ってしまいました。それまでは結構いらいらしていたはずなのに、その発言を聞いた瞬間に、その怒りはどこかへ行ってしまいました。ここまで徹底して「私に責任はない」という態度を貫かれると、客に対して全く媚びないその態度が逆にいいものに思えてくるから不思議です。
とりあえず私はあと27回ほど営業所に通う必要があるようです。
藤波
2010年3月19日(金)ガスとオレンジジュースを求めて
今日は授業がない金曜日です。週一回の買い出しに出かけました。まだマラリアが完治していない山下先生をジャパンハウスに残して、今日は私とイレネーさんの二人でコトヌーの商業エリアであるガンヒに出かけました。今日買わなければならないものは、ガスとオレンジジュースです。ベナンではガスのボンベが町中のいたるところで売られていて、ガスがなくなったら空のボンベを持ってそこに行き、新しい、ガスがつまっているボンベを買うのです。ジャパンハウスの台所で使っているガスがなくなりそうだったので、ベロちゃんに買ってくるように頼まれたのです。それからオレンジジュースです。オレンジジュースは山下先生に頼まれたのですが、マラリアで苦しんでいる山下先生のためにも、こちらも是が非でも手に入れなければなりません。
ガンヒまでは車で15分程の距離です。いつも行くスーパーには、今日に限ってオレンジジュースがありませんでした。仕方がないので他のスーパーにも行ってみましたが、そこにもオレンジジュースはありませんでした。コトヌー最大のマーケットであるダントッパマーケットにも行ってみました。オレンジジュースはあるにはあるのですが、果汁何%かもわからない怪しげなものしかありません。山下先生は果汁100%のオレンジジュースが飲みたいのと言っていたので、ここは意地でも果汁100%のジュースを探さなければなりません。しかし、なぜか今日に限ってないのです。オレンジジュースを探しながら、通りにいくつもあるガス売り場(?)にも立ち寄りました。しかしどこのガス売り場にもガスがありません。何らかの理由でガスの供給がストップしているようです。いくつガス売り場を回っても、いくつスーパーや露店を回っても、ガスもオレンジジュースもありません。
最終的に、小さなスーパーでオレンジジュースは見つけることができたのですが、ガスは見つけることができませんでした。それにしても、今日に限ってガスとオレンジジュースが街中から姿を消してしまったようです。コトヌーの、特にガンヒには本当に物がたくさんあふれています。しかしながら、時々買いたいものがどこに行っても見つからない、というようなことが起こります。しかしそれは本当に一時的なものです。おそらく来週同じスーパーやガス売り場に行ったら、オレンジジュースもガスもちゃんとあることでしょう。
写真はガンヒの町の渋滞の様子です。
藤波
2010年3月23日(日)断水と停電とストライキと
最近は、毎日長時間の停電やら断水やらとお付き合いしなければならない毎日なのですが、そういう生活の大変な所は、停電や断水の原因がわからない、という点にあります。
なぜ停電、断水しているのか。いつ復旧するのか。復旧のめどが立っているのか、いないのか。そういった情報が一切ありません。生徒曰く、水道局や電気会社に電話しても、冷たくあしらわれるだけだそうです。日本にいると情報がありすぎて疲れてしまうことがありますが、ベナンでは逆に情報が極端に不足しているので不安になります。何事もほどほどがちょうどいいということですね。
停電や断水が続いた時に文句を言う人はいないのだろうかと思うのですが、どうやら大多数の人は仕方がないから、ということであきらめてしまうようです。たしかにそういう境地でないと、暮らしていけないと思います。私も最近は、できるだけ何事にも期待しないようにて生活しています。それは別に全てに対してマイナス思考で、下を向いて生きるということではなく、「実現したらラッキー」というような考え方をした方が喜べるチャンスが増えるからです。その方がどう考えても合理的です。でも、市民がみんな「仕方ない」という考え方になると、誰も政府や水道局や電機会社を批判する人がいなくなってしまいます。批判する人がいないと、何も改善されません。批判することって実は大切なんだ、と最近気づきました。
それでも国の制度に対して異議を唱えている人たちもいます。学校の先生です。ベナンの学校の先生の給料はとても安いそうで、教師の仕事の他にアルバイトをしないと食べていけないそうです。日本語学校の生徒の中にも高校の先生がいますが、その人も家庭教師のアルバイトをしているそうです。そして、あまりにも給料が安いので、先生たちはよくストライキをします。生徒が学校に行っても先生が来なかった、ということは頻繁にあるようです。大学の先生がストライキをするのはまだ想像できるのですが(実際、ベナンの大学の先生もストライキが大好きです)、高校や中学校や小学校の先生がストライキをしてしまうのは、あまりよくないと思います。学校の建物自体は増えているけれど、先生の質や先生への待遇が悪すぎる、というのがベナンの現状だとJICAの隊員の方も話しておられました。
先生がストライキをして被害をうけるのは、結局生徒です。ストライキは頻繁に行われていますが、先生の給料がよくなったという話は聞きません。じゃ、誰が国や政府を批判できるのか、と考えると・・・、やっぱりマスコミなのかなあ、と思います。マスコミの仕事って大切なんですね。
ベナンに来て、批判することの大切さやマスコミの大切さを実感している毎日です。
藤波
2010年3月23日(火)停電
なんだか最近停電だとか断水だとか、そんな話ばかり書いているような気がしますが、でもあまりにも頻繁に起こるので、ついつい書きたくなってしまうのです。
昨日と今日と明日は、たけし日本語学校は授業がありません。タームとタームの間の短い休みです。この授業のない3日の間に、たまっている事務仕事を一気に片付けてしまおう!と私も山下先生も思っていました。普段は授業の準備で手いっぱいで、なかなかその他の仕事まで手がまわりません。ですから、次のタームを気持ちよくスタートさせるためにもこの休みはがんばらねば!と気合いを入れていた矢先、そんな気合いに水を差してくれるのはやっぱり停電です。
停電は昨日の9時頃から始まりました。大体いつものパターンだと、20〜30分位で復旧するので、今回もそれくらいかなと思っていたのですが、1時間経っても2時間経っても復旧しません。ということはこれは少し長めのパターンか。たぶん復旧は夜中の2時頃だな、と思ってとりあえずちょっと寝てみることにしました。深夜2時、まだ電気は来ません。まさか朝までってことはないだろうと思いながら、もうひと眠り。朝、電気は来ません。パソコンを使う仕事が多いので、全く仕事がはかどりません。焦ってもしかたないと自分に言い聞かせながらも、明らかに焦っている私。昼の12時、まだ電気はきません。まさかこのまま永遠に電気がこないのかしら、と思っていたら、2時過ぎに電気がつきました。私も山下先生もほっと一安心。が、そこで安心していてはいけません。いつまた停電がやってくるかわからないので、その前にできるだけ仕事を進めておかなくてはなりません。というわけで、がんばって働きました。案の定、その後も短い停電が何度かあって、その度にドキッとさせられましたが、なんとか20〜30分程度の短い停電ですんでいます。
断水よりは停電の方がまだましです。しかし、定期テストを作っている時や、事務仕事が溜まっている時、コピー屋で教材をコピーしている時などに長時間の停電に出くわすとさすがに少し困ってしまいます。最近ずいぶん停電が多いので、なんとかしてこの停電と仲良くできないものかといろいろ考えているところです。
藤波
2010年3月26日(金)たけし日本語学校全体ミーティング
今日は、たけし日本語学校の生徒全員が集まって、現在ベナンに一時帰国中のゾマホンさんを交えて会議が開かれました。この会議の主旨は、ゾマホンさんがたけし日本語学校の生徒の皆さんに対して、学校設立の目的や心構えなどを伝えるというものです。
ゾマホンさんはいつも通り1時間遅れで到着し、いつも通り予定の時間を1時間程オーバーしても話し続けるという感じでしたが、特に今回初めてゾマホンさんの話を聞く生徒は、いろいろと感じるものがあったと様子で、うんうんとうなずきながら聞いている生徒も多かったです。こういう時のゾマホンさんの話術というか、カリスマ性はすごいなといつも思います。ゾマホンさんのスピーチの後は簡単な質疑応答があり、会議はお開きとなりました。
今日はゾマホンさんのお話以外にも、1月から始まったたけし日本語学校の新しいシステムについての話や、日本の事務局からのメッセージなど、内容の濃い会議になりました。とにかく、無事に終わってよかったよかった。
藤波
2010年3月28日(日)お出迎え
今日は、日本からいらっしゃるテレビ局の皆さんのお迎えに、空港へ行ってきました。今回の撮影の企画は、北部の小学校で、小学生とたけし軍団の方が一緒に芸術作品を作るというものらしいです。テーマは「水」ということでした。たけし軍団の方は、本当に気さくな方でした。
10数名の生徒と一緒にお出迎えに行き、ベナンと日本の国歌を歌い、空港の前で本当に簡単にですが歓迎のセレモニーのようなものをしました。
テレビ局のクルーの皆さんはこれから約一週間ほどベナンに滞在し、北部を主な拠点として撮影をされるそうです。この番組を通して、ベナンのことが日本に少しでも伝わればいいなと思います。
藤波
2010年3月29日(月)どうにかなるさ
前回、停電と仲良くなる方法を考えたい、というようなことを書きましたが、その結論が出ました。残念ながら、停電とは仲良くできません・・・。
しかし最近はちょっと異常です。今までも停電はほぼ毎日起こっていたのですが、せいぜい1日に1時間程度でした。最近は、毎日10時間近く停電します。どうしてしまったのでしょうか。私達は基本的に昼間は授業をして、夜、授業の準備やその他の仕事をするわけですが、その大切な夜の時間に停電されるととても困るのです。
そこで私は考えました。これだけ停電するということは、おそらくこの停電に対して、私自信が何らかの態度を決めなければならないのではないか、と。停電の度にイライラしていたのでは、精神衛生上よくありませんし、非合理的です。どういう心構えでこの停電に対するか、考えた方がいいと思ったのです。
停電にたいしてとり得る態度として、まず第一に思いつくのは、「電気は最初からないものとして生活する」というものでしょう。しかしこれは私には無理です。今までずっと電気の恩恵を受けて生活をしてきましたので、それがない生活はちょっと・・・。パソコンを使わねばならない仕事も多いので、現実的に難しいという理由もあります。
そこで、もうひとつ考えられるのは、「どうにかなるさ」という態度です。1日に何時間も停電されると、当然のことながら仕事ははかどりません。ですから当然焦ります。イライラします。しかしそこで、「どうにかなるさ」という心境になれたら、気分はだいぶ楽です。もちろん現実は、「どうにもならない」ほど仕事が溜まっていくわけです。そこで、停電の時は「どうにかなるさ」と思っておいて、電気が復旧したら必死で働くわけです。「どうにかなるさ」と思っていても、仕事を投げ出したりするわけではなく、あくまで「どうにかなるさ」でその場をしのぎ、後でがんばるのです。
そう簡単にいくわけがないとお思いになるでしょうが、ところがどっこい、時々はうまくいくのです。
藤波
2010年3月30日(火)大使館オープニングパーティ
今日、コトヌー市内にあるMARINA HOTELで、在ベナン日本大使館のオープニングセレモニーがありました。MARINA HOTELはおそらくベナンで一番の高級ホテルで、中はまるで別世界です。
参加者は、日本側は大使館の職員の方々と、ベナンの政府関係者、西アフリカの大使館関係者の方々、JICAの皆さん・・・ととにかくたくさんです。誰が誰だか、正直に言ってよくわかりませんでした。当たり前と言えば当たり前ですが・・・。IFEからは、ゾマホンさんと山下先生と私が出席しました。セレモニーは立食パーティの形式で行われ、在ベナン日本大使とベナン側の代表のスピーチが行われました。大使とも直接お話しさせていただきましたが、とても穏やかな方でした。今回の大使館の設立で、今後は日本語能力試験の実施や、ベナン人の日本留学者数増加や、日本企業のベナン進出など、いろいろな可能性が出てくると思います。可能性だけでなく、それらを実現できるように、日本語学校としても大使館にいろいろ働きかけていきたいと思っています。
藤波
2 コメント
柴田 尚
はじめまして。私、ブラジル在住の日本人です。こちらに来て、3年半になります。ベナンでの生活、興味深く拝見しております。気候は私の生活している地域と似ているかなと感じています。日本語学校の建物を写真で拝見すると、これではさぞかし暑いだろうなと感じます。こちらでは、ある程度の家になると天井を高くして、屋根裏も非常に高さがあります(屋根が日本の家屋で言うと、中二階位の高さになっています)。それと、停電ですが、発電機の設置は難しいのでしょうか。ブラジルの田舎の農場では電気が来ていないのは普通であり、発電機を利用しています。もっとも、私が思いつく程度のアイデアはもう試されたでしょうね。アフリカはまだ一度も足を運んだことがなく、将来是非訪れたいと思っております。ブラジルでも生活していれば色々と考えさせられることがあり、お会いしたことはないものの、ゾマホンさんのことを尊敬しております。今後もこの日記を楽しみにしております。
藤波大吾
柴田様
コメントをいただき、どうもありがとうございました。
そうですね、屋根の件は何とか考えてみたい所なのですが、
予算の関係もあり、なかなか難しいのが現状です。
やはりコンクリートの建物は非常に暑いですね。
でも、現在は雨季で、乾季に比べたら天国のような涼しさです。
おそらく気温は25度前後というところでしょうか。
発電機は学校にもありますよ。
授業中に停電した場合は、発電機を使っています。
しかし、ガソリンも高額なので、普段の生活の中で常時発電機を回すのは
ちょっと難しいです。
しかし、この問題も最近は解決しました。
雨季になり、水力発電が可能になったため、最近は比較的電力供給が安定しています。
でも、面白いことに、徐々に電気が無い生活に慣れてくるんですよね。
停電でテレビやラジオが聞けない分、いろいろと考える時間も多くなるので、
日本にいた時は考えなかったようなことまで考えたりします。
柴田様も、どうぞお体に気をつけてお過ごしください。
機会がありましたら、是非一度ベナンにもいらしてください。