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ケニア大統領選挙後の混乱

昨年12月27日に行われたケニア大統領選挙の結果をめぐって、再選を目指す与党「国民統一党(PNU)」党首のムワイ・キバキ氏(76)と、最大野党「オレンジ民主運動(ODM)」の党首、ライラ・オディンガ氏(62)が対立し、一部地域では大規模な暴動が発生している。

ケニア選挙管理委員会は、開票3日目の中間発表において、オディンガ氏のリードを伝えた。だが、このときはキバキ氏支持者の多いケニア中東部の開票が完了していなかった。翌日、同選挙管理委員会は、キバキ氏が4,584,721票を獲得し、オディンガ氏が4,352,993票の獲得に留まったことで、キバキ氏再選を発表した。ところが、オディンガ氏が「選挙に不正があった」として敗北を認めなかった。このことから、オディンガ氏の支持者らと治安部隊が衝突し、多数の死者が発生する事態となっている。また1月1日、EU(欧州連合)の選挙監視団は、民主的選挙の基準を見たいしていないと認識を示しており、これが野党勢力の勢いを強めているという見方もある。

4日には、オディンガ氏がキバキ氏に対し、再選挙を要求した。一方、選挙に当選したキバキ氏は、挙国一致内閣をつくろうとするも、オディンガ氏は大統領の辞任と再選挙を再度要求し、両者の溝は埋まらない状態が続く。8日には、AU(アフリカ連合)議長のクフォー・ガーナ大統領が仲裁に入った。キバキ、オディンガの両氏は、暴力の即時停止、対話、アナン前国連事務総長らの調停で合意したものの、二者の直接対話は実らなかった。16日からも再び野党勢力による抗議デモが行われ、またしても機動隊と衝突。死者は600人を超えており、さらに増える可能性がある。

もともとオディンガ氏は、前回(2002年)の大統領選挙でキバキ氏を支持し、24年間政権の座にあったモイ氏の退陣に貢献した。だが、ここまで両者が対立するようになったのには、政権交代後の公約である憲法改正が履行されなかったことや、汚職の根絶が十分に行われなかったことがある。また、キバキ氏出身の民族であるキクユ人はケニア最大の民族で、政経界で優遇されているとの見方がある一方で、オディンガ氏の出身民族であるルオ人は、ケニアで2番目に大きな民族でありながら、貧困層が多く、政治の中心から排除されていると感じているところもある。さらに、大統領選挙と同時に行われた議会選挙(改選210)では、与党「国民統一党(PNU)」の獲得議席43に対し、野党「オレンジ民主運動(ODM)」が99の議席を獲得し、大統領選とは反対の結果が出ている。EUの選挙監視団の認識以外にあるこのような背景があることから、オディンガ氏は「選挙に不正があった」との意見を変えないものと思われる。

  ケニア大統領2大候補者データ  
名前 ムワイ・キバキ(Mwai Kibaki) ライラ・オディンガ(Raila Odinga)
年齢 76 62
政党 国家統一党
Party of National Unity<与党>
オレンジ民主運動
Orange Democratic Movement
民族 キクユ(ケニアで最も多い) ルオ(ケニアで2番目に多い)
特徴 年5%以上の経済成長率を達成 中小民族の貧困層や若者の不満を吸収

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