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NPO法人IFE

日本語教師の窓

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お便り 72 - 5月前半

藤波先生 編

2010年5月2日(日)停電の理由

最近、9月から日本に行く予定のイワダンさんのために個人授業をしています。大体週に2回、日本に行くための準備として、日本語の勉強をしているのです。

その授業の中で、イワダンさんがベナンの停電の理由について話してくれました。実はイワダンさんは、ベナンで最も有名な国立大学の大学院で外交の勉強をしていて、時々ベナンの国営放送の番組でコメンテーターのような役割も務めてしまう、ちょっとすごい大学院生です。

イワダンさんによると、現在、ベナンはガーナやナイジェリアから電気を買っているとのことでした。現在何が問題なのかというと、何とコートジボアールとトーゴも、ガーナから電気を買うようになってしまったというのです。つまりガーナは、コートジボアールとトーゴとベナンという3つの国に電気を売っていることになります。なんでも、ガーナの水力発電施設は非常に優れているので、そういう芸当が可能なのだとか。なぜコートジボアールとトーゴがガーナから電気を買うようになったかというと、単純に発電のため設備が壊れてしまったかららしいのです。いくらガーナの水力発電が優れているとはいえ、3つの国でその電力をわけなければいけないとなれば、足りなくなるものうなずけます。それで、今コートジボアールの首相がベナンに来て、ベナンのヤイ・ボニ大統領と今後の策を検討しているらしいのです。今後、どのような解決策が提示されるのか、興味があります。

それにしても、旧フランス植民地のベナン、トーゴ、コートジボアールが、旧イギリス植民地のナイジェリア、ガーナから電力を買っているというこの図式は、フランスの旧植民地に対する対応の仕方を暗示しているような気がしてなりません。

藤波

2010年5月5日(水)セールスレディ

靴の修理屋さん最近、IFE財団の秘書兼食事係のベロちゃんが、新しいビジネスを始めたようです。

そのビジネスというのは、サンダルの訪問販売です。元締めのような人からサンダルをもらって、それを売って歩くのです。

もちろん、一番最初にそれを売りつけられるのは私と山下先生です。私はあと1年ベナンいるし、今使っているサンダルが壊れてきているので、ひとつ買いましたが、山下先生はかたくなに拒否し続けています。山下先生はあと2か月弱で日本に帰りますから、当然です。はたから見ていると、そのやりとりは結構おもしろいです。果たしていつまで拒否し続けられるのか、見ものです。

ベナンのサンダルは、残念ながらすぐに壊れてしまいます。私が今使っているサンダルは、5000CFA(約1000円)ほどでしたが、1ヶ月で壊れてしまいました。ですが、一度壊れても修理してもらって大体5ヶ月ほど使い続けました。コトヌーの町は、靴の修理屋さんがたくさん歩いていて、その人達に声をかけて直してもらうのです。修理代は、大体100〜300CFA(約20円〜60円)くらいです。おそらく、壊れやすいサンダルがたくさんあるからこそ、この修理屋さん達も生活していけるのだと思います。また、サンダルを買う側も、買った後で修理してもらうのは当たり前という感じなので、一度壊れても修理してもらって何か月も使い続けると言うのは普通のことのようです。

果たして、今回買ったサンダルは何ヶ月もつのでしょうか。ベロちゃん曰く、「このサンダルはそこいらのサンダルと違って作りがしっかりしているから、なかなか壊れない」とのことですが、果たして・・・。

写真は、靴の修理屋さんです。

藤波

2010年5月7日(金)車

今日、金曜日恒例の買い出しの後、コトヌー市内のとある自動車修理工場に行きました。そこでは現在修理されているのは、ジャパンハウスの車(トヨタ)です。彼(トヨタ)は、生まれてから20年間走り続けています。ベナンに来る前はどこを走っていたのでしょうか。走行距離は20万キロを軽く突破しています。ちなみ車種は、ランドクルーザーの様なタイプではなく、普通の乗用車です。

修理中のトヨタ私達が修理工場についてみると、彼は何と横倒しにされていました。たしかにその方が修理はしやすそうですが、車を横倒しにして修理している光景を初めて見たので、ちょっと驚いてしまいました。近くにあった少し新しそうな車は横倒しにされることなく、車の下に人がもぐって修理していたので、全ての車に対して同じような方法で修理するわけではないようです。横倒しにしてもいい車と、してはいけない車の区別があるようで、私達のトヨタは残念ながら前者に分類されてしまったようです。

横倒しで修理している光景にもおどろいたのですが、もっと驚いたのは、車の腹の部分を見た時です。鉄がもはや鉄ではないような、そんな色をしています。あちこち錆びて、穴もあいています。よくこれで今まで走っていたなと、感心しました。そして、若干の恐怖も(笑)

彼はまだ修理が終わっていないらしく、今日は一緒にジャパンハウスに帰ることができませんでした。近いうちに、できるだけ元気な姿で戻ってくることを祈りたいと思います。

藤波

2010年5月8日(土)ポーニョポーニョポニョさかなのこ〜♪

毎週土曜日は「天才日本語クラブ」の日です。たけし日本語学校の生徒兼先生である、トスさんの発案によりはじまったクラブで、日本語のレベルに関係なく、日本語をもっと勉強したい生徒が集まります。時間は毎週土曜日の夜のクラスが終わった後、20時半から21時半までです。だいたい毎回、10人程度の生徒が集まります。

今日のクラブでは、日本語の歌を歌いました。曲は「崖の上のポニョ」のテーマソングです。少なくとも私は、「崖の上のポニョ」を生徒に教えようと考えたことはありません。先生が教材として使う歌を選ぶ時、できるだけ勉強した文法項目が入っている歌とか、比較的わかりやすい歌とか、そういう基準で歌を選ぶことが多いと思います。それから、もちろん生徒の年齢層も考えます。そういった理由で、わたしはこの歌を生徒に教えようと考えたことがありません。しかし、ここがおもしろいところなんですが、トスさんはあまりそういうことは考えません。日本語の歌だから、何となくメロディーがいいから、言葉の響きが面白いから、そういう理由で歌を選びます。だから、私とは違う視点で歌を選んでいるわけです。

はたして、他の生徒の反応はどうなのか、と思って見ていると、意外と悪くありません。みんな楽しそうに「ポ〜ニョポ〜ニョポニョさかなのこ〜♪」と歌っています。これには少し驚かされました。そして、自分の思い込みに気付かされました。「崖の上のポニョ」もちゃんと教材になるのです。今日は、トスさんのおかげで、ひとつ勉強になりました。

藤波

2010年5月9日(日)誕生日の祝い方

リリアさんベナンの誕生日の祝い方は、ヨーロッパ式のようです。日本の誕生日は、誰か一人のために友達や同僚がパーティを企画する、というのが普通だと思います。でも、ベナンでは基本的に誕生日の人が友達や同僚を招いてパーティをします。誕生日の人が、他の人をもてなすわけです。

先日は、OPクラスのリリアさんが、私と山下先生にケーキを持ってきてくれました。自宅で開いた誕生日パーティの際に作ったケーキだそうです。リリアさんは、ロシア人とベナン人のハーフです。生まれも育ちもベナンで、現在はコトヌー市内にある大学に通っています。毎週土曜日と日曜日の夜のOPクラスに、毎週休まずに通って来てくれます。

もらったケーキは、とてもおいしいチーズケーキでした。山下先生やジャパンハウスのスタッフと一緒に、おいしくいただきました。リリアさん、どうもありがとうございました。

写真は、リリアさんです。正月に書き初めをした時の写真です。

藤波

2010年5月10日(月)ビジネスについて教えるということ。

昨年の10月から始まったビジネスコースも、3ターム目に入っています。最初の2タームは、主に日本で生活する前に必要な表現や、それに伴う文法項目を勉強しました。そして、万を持して3ターム目から会社で働く際に必要な日本語の勉強が始まりました。

授業の教案は、山下先生と私が一緒に作ります。実際に授業をするのは山下先生です。山下先生はベナンに来る前、10年以上も日本の会社で働いていた経験をお持ちです。そんな山下先生の授業を見ていて、いつも「かなわないな」と思います。残念ながら私は、日本の会社で働いた経験がありません。ですから、おそらく私は日本の会社やビジネスについて非常に限られた情報しか持っていません。生徒にビジネスについて教えることはできるかもしれませんが、例えば山下先生のように、自分の経験とからめて何かを生徒に伝えるということは、残念ながらできません。

教師にとって、教える技術は確かに大切ですが、いろいろな経験もそれと同じくらい大切なんだなと最近痛感しています。

藤波

2010年5月14日(金)文房具屋

文房具屋の姉妹毎週金曜日は買い出しの日です。ジャパンハウスを車で出発して、まず最初に行くのは郵便局です。郵便局でIFEの私書箱に郵便がきていないか、チェックするのです。ジャパンハウスに直接郵便が来ることはないので、毎週郵便局へ行って私書箱を確認するシステムなのです。

その郵便局の前には、文房具屋の露店が並んでいます。店番をしているのは、大体おばちゃんですが、その中の一軒に小さな姉妹がお母さんと一緒に店番をしている店があります。この姉妹、本当にしっかりしていて、おそらく10歳位だと思うのですが、お母さんがお店にいない時も立派に店番を務めています。昼間店番をしている所を見ると、おそらく学校には行っていないのでしょう。とにかく、私達はその姉妹が大好きなので、いつもその店でコピー用紙やファイルやボールペンや蚊取り線香を買います。

他の店のおばちゃんがどんなに呼んでも、その姉妹の店に行きます(笑)。買うものがなくても、店に寄ってあいさつします。

先日、二人の写真を撮らせてもらいました。今日はそのお礼に現像した写真をプレゼントしました、二人ともとても喜んでくれました。

そろそろジャパンハウスのコピー用紙がなくなりそうなので、来週は姉妹の店でコピー用紙を買おうと思っています。

藤波

2010年5月15日(土)Rクラスの合併

毎週土曜日と日曜日の昼は、Rクラスです。このクラスは人数がとても少なく、常時生徒が3〜5人という状態です。入学希望者も50人を超えてきたので、新しいクラスを開講するために、Rクラスを他のクラスと合併することになりました。今後は、生徒が通いやすい時間や、生徒のレベルを考えながら、Rクラスの生徒がどのクラスに編入するか、調整していかなければなりません。

RクラスそのRクラスの中に、毎週休まずに授業に通って来てくれる「お母さん」がいます。お母さんの名前はフンカンリンさんです。彼女はもう退職して、主婦として生活しているそうです。フンカンリンさんは、いつも笑顔です。間違えても笑顔です。フンカンリンさんがクラスに来ると、クラスの雰囲気が明るくなります。フンカンリンさんは50代ですが、いつもシャキシャキ歩いていて「小粋なお母さん」という感じです。私と山下先生の誕生日にはワインをくれます。日本のことが本当に大好きだといつもいってくれます。

今回の合併で、フンカンリンさんは少し上のレベルのクラスに編入しなければならなくなりそうです。Rクラスと同じレベルのクラスが日曜日の朝にあるのですが、教会に行かなければならないそうで、そのクラスには来られないらしいのです。上のレベルのクラスに行くのは、もちろん生徒には大きな負担になります。なんとかフンカンリンさんが日本語の勉強を続けられるように、しっかりフォローしていきたいと思っています。

写真の一番右に写っているのが、フンカンリンさんです。

藤波

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