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お便り 97 - 5月後半
市川先生 編
2011年5月21日(土)ベナンで日本語を教えるとき
今、たけし日本語学校では『みんなの日本語』というテキストを使って、授業をしています。
そのテキストの中に日本の郵便局での会話が出てきます。「速達」「船便」「航空便」などの言葉も出てきます。
ベナンではまず、手紙を書くことが少ないでしょうし、郵便局へ行くことも少ないと思います。自分自身が移民であったりすれば、国の家族に何かを送るために、郵便局に行くかもしれませんが、ほとんどの学生は郵便局へ行きません。そんな中、船便、航空便と言われてもピンときませんよね(もちろん分かる学生もいますが)。
ベナンでは郵便局で手紙を出す代わりに、例えばダサズメの人に手紙を送りたいとき、ダントッパマーケットに来ているダサの人に手紙を託します。そして、ダサズメの人はマーケット(もしくは乗り合いの車の乗車場)でその手紙を受け取る・・・。ベナンではそんな郵便システムが成り立っているところがあります。
「郵便は間にあわないから、マーケットへ行く」と言われたときは、最初わけがわかりませんでした(笑)
それから、国立の大学であるアボメカラビ大学の授業はひとつの教室に何人いるのかと質問したところ、「3000人ぐらい。」(コンサートか!?)
よく学生は百と千を間違えるので、300人の間違いかと思って、もう一度聞き返しましたが、答えは同じでした。もちろん教室には入りきれないので、教室の外で講義を聞いていたり、休んだり・・・と受講スタイルは様々なようです。たけし日本語学校のまじめな新入生は8時からの授業のために、5時半に家を出ているそうです。
教授はマイクを使っているので、停電したら、教授の声は聞こえません。
いくら国立の大学は無料だからといって、これだけの学生を目の前にした授業はどうかと思います。大学側の成績処理も追いつかないでしょうし(実際に追いついていないようですが)、学習環境が整っていないのはいいことではないと思います。
2011年5月22日(日)日本料理パーティー
ベナンの人はパーティーが好きな人が多いと思います。
日ごろ、宿題をしてください!勉強してください!と言っているので、たまには+αの楽しみをということ(アメとムチ?)で、パーティーをしました。
日本料理のパーティーです!!
パーティーの告知をしたところ、約60人の人が申し込みましたが、当日来たのは半分ぐらいでした。これもお国柄でしょうか・・・。
加藤さんにもご協力いただいて、藤波先生、私で前日から準備にとりかかりました。
メニューは・・・すし、てんぷら(さつまいも、なす、にんじんと玉ねぎのかき揚げ)、おこのみやき、飲み物として抹茶ミルク、箸休めにスイートポテト(これは日本料理じゃありませんが・・・)。
どれも、みんな「おいしい!」と言って食べてくれていました。特にてんぷらは大好評で、抹茶ミルクはみんな恐る恐るでしたが、飲んだ瞬間「!」という顔になり他の人にもおいしいから飲んでみなよ!という感じでした。
それから、料理だけじゃ間がもたないかも・・・と思って、小さい玉とお箸とおわんを密かに用意していました。
それを目ざとく見つけた学生が、お箸でとる練習をはじめました。すると、料理そっちのけでみんな箸に夢中。玉を違うおわんに移し変える競争もこちらが何も言わなくても、自然と始まっていました。
みんな大学生以上なのですが、お箸を持ってはしゃいでいる姿は日本やおはしが出回っている国ではなかなか見られない光景なので、なんだか心があたたまりました(学生が箸の使い方を教える場面も!)。
かなり大変でしたが、やってよかったなと思っています。
2011年5月22日(日)頭のいい高校生のミスコン
日本料理パーティーが終わり、ぐったり気分でしたが、夜から高校生のミスコンに行ってきました。
去年同様IFEが賞品として(奨学金という名目で)日本語の授業をプレゼントしました。
去年のミスは現在、たけし日本語学校で勉強中です。とても優秀で、きれいな子です。
このミスコンの規模、趣旨はよくわからないのですが、今回の出場者は個性派ぞろいで、何を基準に選ぶかで勝敗がまったく違ってしまうような感じでした。
歌、踊り、ポエム、劇、民族衣装でのファッションショー(ダンス)、ペーパーテストなど内容は盛りだくさん。17時開始のはずが、19時ごろ始まり、なんと日付が変わって、24時40分ぐらいに終了。
一緒に行った加藤さんもさすがにお疲れのようでしたが、きれいなだけのミスコンよりは見ていておもしろいとおっしゃっていました。
今年度の優勝者はテストの結果もよく、自分の意見をしっかり持っていて、かつ、劇がとても上手でした(写真中央)。応援団もかなり盛り上がっていました。
2011年5月23日(月)これからベナンはどうなるでしょうか?
授業中、これからベナンはどうなるか?という問いを投げかけたところ、ベナンの人口は2倍になるだろうという答えがありました。私はこんな回答が出てくると思っていなかったので、わくわくしました。
理由はみなさまのお考えの通り、(1)ベナン人は子供をたくさんつくるから。(2)ベナンは平和なので、移民が増えるから。でした。確かに、ちょっと長い目で見たら、起こりうる事態かな、と思いました。
他のアフリカの国に比べたら、ベナンは本当に平和です。安心して暮らせる地を求めて人が動くのは当たり前のことですものね。ベナンはこれから、移民対策もしていかなければならないかもしれません(もう既に動いているかもしれませんが・・・)。
2011年5月26日(木)雨季です
最近、めっきり涼しくなりました。昼間にさらっと、夜にダーッと雨が降ります。コピー屋へ行く道にある水溜りもどんどん大きくなってきました。
ここでは雨がダーッと降り始めて、雷がゴロゴロいっていると10分後ぐらいには停電します。最近では「そろそろ来るな」と思うと、決まってプチッと電気がきれます。
そんな状況は日本には滅多になかったので、何だかほっとする時間だったりします。
とはいえ、地震の影響で日本も少しは変わっているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。もうある程度前の生活に戻っているのでしょうか。
2011年5月29日(日)努力の人
在ベナン大使館の運転手の方がたけし日本語学校で勉強しています。今までにも大使館で働くベナンの方が勉強しに来ていましたが、残念ながら長くは続きませんでした。でも、この方はちがって、今9ヶ月の勉強が終わろうとしています。コツコツと努力をして、平日(2回)のクラスに出席し、この3ヶ月は土曜日のクラスも聴講しています。さらに、助詞と数字の言い方が分からないからもう一度教えてください、と今日の午後、事前にアポをとって、やってきました。助詞が分からない人は恐らくたくさんいると思います。でも、こうやって自分は何が苦手で、今、何をしなければならないかが分かっていて、実際に自ら動ける人はすばらしいと思います。
仕事の仕方からも、人柄からも大使館の日本人の方々に信頼されているようです。この方には間接的にではありますが、これからも日本のために働いていただけたら・・・と思っています。