本文へジャンプする

NPO法人IFE

ベナン観光情報

旅立つ前に

西アフリカ飛行機の旅

エール・ブルキナ(Air Burkina)という航空会社を聞いたことがあるだろうか。どれだけアフリカに興味のある人でも、ほとんどの方は知らないだろう。まして乗ったことがある人は、ほぼ皆無だろうう。今回は、昨年搭乗した体験をもとに、エール・ブルキナを使った、西アフリカの空の旅を紹介する。

ブルキナファソからトーゴに向かう際、バスの発着時間や運航日の折り合いがつかず、また、長旅では疲れることを避けるため、飛行機で向かうことにした。その時に利用したのがエールブルキナである。エール・ブルキナは、ブルキナファソを代表する航空会社(フラッグキャリア)で、首都のワガドゥーグーを起点に、国内はボボデュラッソ1都市、海外はニアメ、コトヌー、ロメ、アビジャン、バマコ、ダカール、パリの7都市に就航している。

チケットは、ワガドゥーグー市内の旅行会社で購入することができた。対応してくれたのは、白髪まじりのおっちゃん、というより、おじいさんだった。私のようなフランス語がつたない旅行者でも、運航日や発着時刻、運賃など事細かに教えてくれた。アフリカの旅行会社に初めて一人で入ったので、フランス語が通じるか、あるいはまともに取り合ってくれるか不安だったが、このおじいさんのおかげで安心して飛行機のチケットを買うことができた。

搭乗の日、早めに空港に向かった。出発までまだ時間があったので、空港の周りには人があまりおらず、店の従業員や警備員は退屈そうにしていた。暇だったので、空港の入口付近の写真を撮ってよいか警官に訪ねたところ、入口付近はよいと言われたので、撮影させてもらった。しかし、室内をこっそり撮影していると、「これ以上撮るな」と別の係員に止められた。アフリカ諸国の空港での撮影はしてはいけないと聞いていたが、容赦しない対応には正直驚いた。ここは日本と違い、写真は自由に撮れない国なのだと改めで自分に言い聞かせる。

ようやく登場手続きが始まった。意外にも乗客は多国籍で、私の外にも、中国、インド、フランスといったアフリカ以外の利用者も見られた。手続きは日本の空港と対して変わりないが、英語は話してくれなかった。手荷物検査と出国審査を通り、待合室で出発までの時間を過ごす。ワガドゥーグーの空港は私が今まで利用した空港で最も小さく、待合室や搭乗ゲートも1つしか見当たらなかった。検査場や出入国ゲートもこじんまりとしており、免税品店の数もわずかで、国際空港とは思えないほどだった。

いよいよ、飛行機に搭乗である。私が乗った飛行機は真中に通路があって、左右に3列のエコノミークラスのシートが並んでいる。また、前の2列のみ、左右2列のビジネスクラスが並んでいた。エコノミー、ビジネスともにほぼ満席だった。そのため、座席上の荷物室がほぼ満杯になり、入りきらなかった荷物の一部は座席の足元に置くことになった。普通の国際線は、緊急自体に備えて足元に荷物を置くことは絶対にせず、必ず開きスペースを作って荷物を押し込むものである。だが、私が今回乗った飛行機はそうではなく、これがアフリカンスタイルなのかと思って納得するしかなかった。また、救命胴衣の説明も簡単なもだった。日本は安全に対する意識が高いとは言われるが、アフリカと言えども国際線でここまで安全に対して安易に扱っていいのかと疑問を持った。これをカルチャーショックとでも言うのだろうか。

同じカルチャーショックでも、旅行者を楽しませてくれるものもあった。女性客室乗務員の制服である。女性客室乗務員のは、ワンピース型の西アフリカの民族衣装であり、アフリカらしさが強調されていた。

離陸してしばらくすると、ブルキナファソで発行されている新聞が、全乗客に配らる。2種類あるうち、どちらかを選択できるが、どちらともフランス語で書かれているので、フランス語がわからない場合は写真を見て楽しむしかない。機内誌や免税品サービス、パーソナルテレビはなかったので、その代わりのサービスなのだろう。乗り慣れている人には何の新鮮味も無いだろうが、私にとってはこのサービスも興味深いものであり、持ち帰ってお土産にすることも出来るありがたいサービスであった。

新聞が配られると、次に最大のお楽しみ、飲み物と機内食が配られ始めた。飲み物は、日本人にもおなじみのミネラルウォーターやオレンジジュースなど。短距離運行のためか、機内食は、ミニフランスパン、オムレツ、チーズ、ケーキと簡素なものだった。アフリカ料理が出てくれればと願ってはいたが、その希望はかなわなかった。味は比較的シンプルだったが、ヨーロッパを出て以来のケーキをたべることができ、満足のいく食事だった。

エールブルキナ機内食

機内食を食べ終わってしばらくすると、間もなく、1回目の着陸態勢に入る。1回目というのはどういうことか。私が乗った便は、ワガドゥーグーを出発した後、コトヌーに立ち寄る。コトヌーで乗降を取り扱った後、ロメに向かい、ここでも乗降を扱い、ワガドゥーグーに戻る行程である。つまり、ワガドゥーグー~コトヌー~ロメ~ワガドゥーグーと三角形を描く形での運行なのである。なぜこのような形で運行するのかはわからないが、窓からコトヌーとロメの2つの景色を楽しめるのは、旅行者にとってはありがたい。ちょうど、コトヌーの到着が夜だったので、コトヌーの夜景を見ることができた。意外にも、コトヌーの夜景がかなり広範囲だったことが印象的だった。

コトヌーで何人か乗客を降ろし、新たな乗客を乗せてロメに向かう。コトヌー~ロメ間は陸路でも2、3時間の距離だから、飛行機では30分ほどしかかからない。離陸してまもなく、2回目の着陸態勢に入り、ロメ・ニャシンベ・エヤデマ空港に到着した。ロメの空港はコトヌーやワガドゥーグーの空港よりも大きく、色々と歩かされた記憶がある。案内所やレストランなども整っており、その規模の充実度には少しばかり驚かされた。

余談だが、ロメ・ニャシンベ・エヤデマ空港に見られるように、外国の国際空港には政治家の名前がつけられていることが多い。ナイジェリアのラゴス空港は、ムルタラ・モハメド空港、ケニアのナイロビ空港は、ジョモ・ケニヤッタ空港、パリはシャルルドゴール空港、ニューヨークはジョン・F・ケネディ空港などなど、挙げていけば幾つもある。面白いのがローマの空港で、レオナルド・ダビンチ空港という。芸術家の名前を付けるというのは、世界でも珍しい。日本にも高知竜馬空港という高知出身の有名人の名前を使った空港があるが、国内線のみの空港で、かつ最近名称が変更されたこともあり、それほど知名度が高いわけではなさそうである。

飛行機そのものはゆれも少なく、一般の国際線と同じような感覚で利用することができた。アフリカに拠点をもつ航空会社を利用することは、日本人にとっては非常に珍しいことである。単に早く移動するだけではなく、旅のネタにもなるので、もし機会があれば、搭乗してみてはいかがだろうか。

ページトップへ戻る

サイトマップ