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NPO法人IFE

日本語教師の窓

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お便り 52 - 7月前半 - 藤波先生編 開始

藤波先生 編

2009年7月1日(水)はじめの一歩

午前2時、ついに到着しました、ベナン共和国!

右足で記念すべき第一歩目。

飛行機から眺めたベナンの夜景は、暗い街の中に、白とオレンジ色の光が控えめに点々と光っていて、とてもきれいでした。

飛行機を降りると、山下先生、寺嶋さん、日本語学校の生徒の皆さん、それに所さん寄贈のスクールバスが出迎えて下さいました。日本とベナンの国歌、ケツメイシの「涙」、ダンスと、次々続くおもてなし。本当にありがとうございました。

私のベナン生活は、上々のスタートです。

最後に自己紹介。

今日から、ベナン共和国の「たけし日本語学校」に日本語教師として赴任しました、藤波と申します。26歳、男、職業・日本語教師、です。

ベナンでの生活を通して感じたことを少しずつ書いていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

藤波

2009年7月2日(木)断水

蛇口から水が出ません。今日の昼ごろから。いきなりの洗礼というやつでしょうか。噂によると、2日前から断水していたとのこと。ジャパンハウスは屋上にタンクがあるので、その水でなんとか2日間は持ちこたえましたが、さきほどついにそれも底をつきました。断水すると、トイレが流せない、シャワーなし、手も洗えない。。。当たり前のことですが、不便ですね。とりあえず、飲めない井戸水を汲んできて、それでトイレを流したりしています。あとは大雨が降ったら、外で天然のシャワーを楽しめるかな♪断水はめったにないことらしいので、とりあえず今は楽しんでます。

・・・・・夜になって、無事、水道から水が出るようになりました

藤波

2009年7月3日(金)イメージと現実

アフリカのイメージ。

舗装されていないデコボコの道、木とトタン屋根で作った家、裸の子供、泥水・・・

◆現実その1(ジャパンハウス前の道路)

舗装されていないデコボコの道。大きな水たまり。コンクリートとトタン屋根の家。上半身裸の子供。服を着ている子供。道端のぬかるみ。道端で泥だらけになっている決して自然にかえることのないゴミ、ゴミ、ゴミ。そのゴミを食べる痩せたヤギと鶏たち。崩れそうな小屋で芋の揚げものを売っているおばちゃん。

◆現実その2(大通り)

デコボコだけれど、ある程度舗装された道。激しく道を行きかう大量のバイクと少しの車。土埃。路肩に並ぶたくさんの店。コンクリートの建物の中にある店舗。木とトタンだけの店舗。頭に物を載せて行きかうたくさんの人々。たくさんの明るいあいさつ。活気。

◆現実その3(街の中心部)

舗装された二車線の道路。交通ルールなど微塵も感じさせない走りをみせる大量のバイクと車。道に並ぶ携帯電話の店やバイク店。いくつもの大きな銀行。オランダの服飾ブランドの看板。洋服店。それらの店の前、つまりさらに車道に近い部分に並ぶ露店のような店。そこで売られているのは、サンドイッチ、靴、欧州のサッカーチームのユニフォーム、洋服、鞄、時計などなど。そして車道に溢れる日本と欧州産の車とバイク。

ジャパンハウス前の道に溢れているのは子供たち。どこからともなく現れる新しい顔、顔。みんな人懐っこい。最初は人見知りをしていた子も、すぐに仲良し。7歳位の子供は2〜3歳位の子をおぶってあやす。おばちゃんは芋を売りながら子供たちを見てる。兄ちゃん達はバイクをいじりながら子供たちを見てる。

これが、アフリカのベナン共和国のコトヌーについての私の第一印象です。

藤波

2009年7月4日(土)星5つです。

かき揚丼とダベデさん昨夜はジャパンハウスに住む日本人の男3人で晩ごはん作り。作りたかったのはかき揚げ丼。できたのは大量の野菜てんぷら。たれに使った麺つゆがご飯と奏でる絶妙のハーモニー。麺つゆとご飯、非常に美味。かき揚げは存在感なし。麺つゆ万歳。ベナン人4人と日本人3人でかき揚げ丼らしきものを食べました。写真は、かき揚げ丼らしきものを食べるダベデさん。

楽しそうでしょ?これがジャパンハウスです。

みなさんもベナンへお越しの際は、是非ジャパンハウスのかき揚げ丼をお試しください。

藤波

2009年7月5日(日)ベナンのことば-母語とは

ベナンの公用語はフランス語。でもベナンにはベナンの民族の言葉が約50もあるのです。

生まれてからしばらくは民族の言葉で育つことが多いとか。しかし、小学校に入った途端、学校では民族の言葉は禁止です。フランス語のみになります。

2名のベナン人に聞いてみました。

  1. 「あなたはフランス語が好きですか?」
    ―「嫌いです。」「まあまあ。好きでも嫌いでもないです。」
  2. 「あなたの母語は何ですか?(何だと思っていますか?)」
    ―「フォン語(民族の言葉)です。」

2つ目の質問に対しては、2人とも即答でした。

藤波

2009年7月6日(日)大好きです。

近所の子供たちと、もらった手紙に書いてありました。フランス語で。

私たちが暮らすジャパンハウスの隣に長屋があります。どんな感じの長屋かというと、時代劇に出てくる長屋をコンクリート製にした感じです。家ごとの切れ目がなく、コンクリートに窓とドア用の「穴」が開いています。ドアがあるうちと、ドアの代わりに布を入口にかけているうちがあります。家の中は暗く、中から子供たちが飛び出してきます。

その長屋に暮らしている、アン・マリ-という10歳くらいの女の子が今日、手紙をくれました。少し大柄で、いつも走り回って、大きな口をあけて笑っている、とても元気な子です。私もジャパンハウスに暮らすメンバーも、しょっちゅう一緒に遊びます。彼女がくれた手紙の詳しい内容は秘密ですが、お互いにフランス語は得意ではありません。彼女は小学校に入った数年前にフランス語を始めたばかり。私はほとんど話せないし書けません。私が話せないから、会話はいつもジェスチャーがメイン。なかなか言いたいことも言えません。でも手紙なら、辞書で言葉を調べる時間もある。動詞の活用を思い出す時間もある、辞書の例文を探すこともできる。言いたいことが少しは言えそうな気がするのです。しかし、

彼女のフランス語も間違いだらけ。そしてまず、とても読み易いとは言い難い文字を判別するところから始めなければなりません。しかし、そんな苦労があっても、これほど楽しい作業はありません。お互いに何かを伝えたい。相手はこういうことを言いたいんじゃないか。この表現はもしかしたら誤解をうむような表現ではないのか。この単語で言いたいことは伝わるのか。そして、こう書いたら相手を喜ばせることができるんじゃないか・・。

私は返事を出しました。するとすぐにまた、彼女から返事が来ました・・。

なるほど、これが「言葉」か。

言語教師にとって、「自分と違う民族や人種の中で過ごす時間」と「言葉が通じない状況で過ごす時間」は非常に大切で必要な経験だと私は信じていますが、その二つをまとめて経験できている私は、非常に幸せだと感じました。

藤波

2009年7月7日(火)七夕祭り

七夕祭り今日はたけし日本語学校の七夕祭り。
スタートは午後7時の予定でした。でもここはベナンですから、7時過ぎから人がぼちぼち集まり始めます。で、スタートしたのは8時くらい。大人、子供合わせて40人程が集まりました。

まず、たけし日本語学校で日本語を教えている、ベナン人のトスさんが「ささのはさ〜らさら〜♪」の七夕の歌をみんなに教えて、少し練習。音程は少しおかしいけど、よしとしよう。

その後、折り紙。今回挑戦したのは「家」。日本人にとってはとても簡単な折り紙でも、慣れていないベナン人にとってはかなり難しい。特に子供達には、「折り紙の端と端をぴったり合わせるように折る」という概念がありません。外国人の子供に折り紙を教えたことがある皆さん、この感じ、わかりますよね?子供達がひっかかるポイントは大体どこの国でも同じのようです。できない子は「センセ、センセ(先生、先生)」と折り紙をこちらに勢いよく差し出してきます。つまり、「わかんないから折って!」という意味です。ここで先生が全部折ってしまっては意味がないので、なんとか見本を見せながら一緒に折ってみます。なんとか全員が自分の「家」を完成させることができました。

七夕祭り次に、短冊に願い事を書きます。ここでも子供たちは短冊とペンの取り合い。それを叱る大人。なかなか賑やかです。日本語が書ける大人の学習者から、まだ全く文字が書けない3歳位の子供まで、それぞれの願いを短冊に書きました。そして、みんなで笹にその短冊を結びます。ベナンにもちゃんと笹があるのです。東京で行われたIFEの感謝祭で短冊を書いて下さった皆さん、皆さんの短冊もちゃんと笹に結びましたよ。

短冊を結んだだけでなく、トスさんの指示により笹に向かって皆で両手を合わせ(合掌)、願い事の成就を祈りました。

その後、七夕の歌を歌い、すいかを食べて終了。みなさん、お疲れ様でした。

今日の昼間、コトヌーの空はあいにくの曇り空でした。でも夜にはなんとか星が見える位までは天気が回復。おりひめとひこぼしは、ベナンの空では会えたのかもしれません。日本ではどうだったでしょうか。

藤波

2009年7月8日(水)ベナンのことば-あいさつ

日本人が初対面の人と交わす挨拶、「はじめまして」「どうぞよろしく」。
英語ではよく”Nicetomeetyou”と訳されますが、若干ニュアンスが違うような気がします。
”Nicetomeetyou”は、「今日、あなたにお会いできて良かったです。」というような意味でしょうか。日本語の「はじめまして」「どうぞよろしく」は、「今日だけでなく、今後もいい関係を築きましょう。」という意味に私は感じます。

さて、ベナンの挨拶には、「はじめまして」「どうぞよろしく」にあたる言葉があるのか。非常に興味深い問題です。
ジャパンハウスのスタッフのポヌさんの答えは、「そういう言葉はない」でした。ベナン人の初対面の挨拶は、「こんにちは。」「お元気ですか。」だそうです。
しかし、その先がおもしろい。ベナン人はさらに「あなたのご家族はお元気ですか?」と聞くらしいのです。

藤波「じゃ、家族がいない人はどうするんですか?」
ポヌ「結婚していなくても、お父さんやお母さんがいれば家族です。兄弟もたくさんいます。」
藤波「でも、もし事故などで自分以外の家族が全員亡くなってしまったら・・・。」
ポヌ「自分の近くに住んでいる人もみんな家族なので、家族は必ずいます。」

つまり、ベナンと日本では「家族」という言葉の持つ意味が違うのです。
日本でも「家族の一員のような・・」というような言い方はありますが、ベナン人にとっては、隣近所の人たちも、本当に「家族」なのです。

挨拶にはやはり、国民性のようなものが現れるように思います。
ベナンでは、クーデターが起こっても血が流れないと聞きます。
なるほど、政敵でも何でも、みんな家族ですからね。

2009年7月11日(土)「ひと」と「ことば」を感じる

今日、日本からの旅行者の方がジャパンハウスに訪ねてこられました。「旅行者」という言葉はあまりふさわしくないかもしれません。その方は、現在アフリカ一周の真っ最中です。1週間ほど前からアフリカ一周旅行をスタートされ、今から来年の初めにかけて、アフリカを時計回りに回って、喜望峰を目指すとのこと。移動はすべて陸路です。いわゆる「バックパッカー」ですね。名前は赤羽桂(あかはねけい)さん。仕事を半年程休業し、今回アフリカに来られたとのこと。アフリカに来る以前にも、南米一周、シルクロード横断、インド周遊など、世界の様々な国をご自分の足で見てこられた方です。

世界各国の写真、それにまつわるお話の数々。私はまだ世界のことを何も知らないんだ、と、本当に改めて実感させられました。桂さんと意見が一致したのは、やはりその国や地域に暮らす人々を見て、触れ合うことは本当に楽しいことだということ。そして、外国に対して作られたイメージのいい加減さ。アフリカに対してもそうです。やはり、実際に見ないとわからないことが山ほどある。もちろん、世界の全てを見て回ることは不可能ですし、海外に出たくても様々な理由で出られない方もたくさんいらっしゃると思います。そういう点で私は非常に幸運です。ベナンという国に暮らして、そこに住む人々や街を間近に見て、感じることができる。これは本当にすごいことだと感じました。そのことを忘れずに、ベナンの「ひと」と「ことば」をしっかり感じたい。改めてそう感じた一日でした。

藤波

2009年7月12日(日)新タームスタート

昨日から、たけし日本語学校の新タームがスタートしました。昨年からこちらにいらっしゃる山下先生曰く、「ベナン人はみんなスロースターターだから、最初はあまり授業に来ないかも知れない。」とのこと。果たしてどうか、と思いながら教室に行ってみると・・・やっぱりベナン人はスロースターターでした。私の初授業に参加してくれた生徒は5名。本当は15名のクラスですが。。。これからエンジンがかかってくるでしょう、きっと。というか私が彼らのエンジンをかけたいと思います。

緊張の初授業の出来はいまひとつ。反省点が山ほどあります。自分はまだまだ本当に未熟な日本語教師です。だから頑張るのは当たり前。必死でがんばります。

藤波

2009年7月13日(月)水たまり

水たまり今、ベナンは雨季です。当然たくさん雨が降ります。たくさん雨がふると、道路のいたる所に大きな湖ができます。

ジャパンハウスの前の道路にも大きな湖ができました。雨が降った直後などは、道路の端から端まで全て水で覆われ、歩いて通ることはほとんど不可能です。車かバイクでないと通れません。

特に、道が他のところより低くなっているところは、水がどんどん集まってきて、近くの家は日常的に床下浸水、という状態。この湖は、おそらく今月いっぱいはコトヌーのいたる所で見られそうです。

藤波

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