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NPO法人IFE

日本語教師の窓

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お便り 39 - 2009年1月前半

山下先生 編

2009年1月1日(木)「元日」

皆様、新年あけましておめでとうございます

今年一年皆様方にとってよい年でありますよう、ベナンよりお祈り申し上げます

今年もどうぞよろしくお願い致します

新年を教会で迎えた私たちは午前0時半過ぎに教会を後にして、散歩しながらジャパンハウスへ帰りました。あまり新年という気がしなかったので「NHKで何かそれらしい番組(たとえば行く年来る年の再放送など)でもやってないかなあ」とテレビをつけましたが、やっていたのは「プロフェッショナル」でした。「何もこんなときにこんな番組を流さなくても…NHKも気が利かないなあ」と思いつつ、つい見てしまいました。30分ほど見ているといきなり電気が消え真っ暗に。新年早々停電。フィルメンさんが発電機を回してくれました。「プロフェッショナル」のあとは「クローズアップ現代」本当にNHK気が利かないなあ!

停電は30分ほどで復旧しましたが、テレビに見切りをつけベッドで横になりました。あたりで鳴る爆竹の音でなかなか眠れませんでしたがいつの間にか寝てしまい、目が覚めると朝8時過ぎ。あーあ、初日の出を見ようと思ったのに…でも天気は曇り、きっと初日の出は見られなかったに違いないと前向きに考え、もう一度寝ました。

ベナンの元日はいつもとあまり変わりませんでした。通りに面した商店はかなり休んでいましたが、露店などはいつもと変わらず営業していました。そうそう、ベナンの露店ってかなり多くの店が夜中過ぎまでやっているんですよ。誰が買いに来るんだろうと思いますが、皆さん遅い時間まで活動していて(何をしているのか定かではありませんが)ちゃんと買いに来る人もいるんです。日本のコンビニのようなものです。

1月2日(金)「ホテル」

今日は週1回の買い物の日。いつもどおり郵便局(私書箱)へ行くと鬼頭先生宛の船便の通知が入っていたので、空港近くの郵便局へ取りに行きました。コトヌー港の脇を通りそのまま海に近い道を行きますが、この通り沿いは立派な国際会議場やきれいな住宅が並び私たちが住むベナンとは別の世界です。そんな「別世界」の一角に国際的にも名を知られたホテル群があり、そのうちの1つ「ノボテル」に私たちの生徒の一人、Mクラスのケンドさんが働いています。彼は誠実で勉強熱心なんですが、残念ながら仕事と学校が忙しく最近はあまりクラスに顔を出しません。心配していた私たちは帰りにケンドさんのホテルに立ち寄ってみることにしました。

最初は彼のホテルにだけ行くつもりでしたが、ドライバーのフィルメンさんが「シェラトンに行きます」というので、ホテル群のいちばん手前に位置する「シェラトン」をまずは見学。フィルメンさんの話ではホテルの名前が変わったらしく”BeninMarineHotel”になっていました。入り口には「4つ星」が掲げられ私たちは入るのを少し躊躇しましたが、フィルメンさんを先頭に入っていきました。ロビーはこれまた「別世界」ベナンにもこんなところがあったんだ。こういう場所に不釣合いな3人はお上(のぼ)りさんのようにあたりをキョロキョロ見回していました。ロビーの奥には大きいプール、プールサイドにはおしゃれなレストランがあり、ヨボ(白人)が何人か泳いでいました。

しばらく見学していよいよケンドさんの「ノボテル」へ。入り口には「3つ星」の表示。中はシンプルですが清潔感があっておしゃれな造り。ロビーの奥はレストラン、その先には小ぶりなプール。レストランの女性にケンドさんの名前を告げると承知しているようで、奥で調べてきてくれました。フィルメンさんが聞いたところ、すぐとなりの「イビス」だと教えられた様子。半信半疑で「イビス」へ入ると…いました、ケンドさん。簡素な造りのフロントで働いていました。

新年早々働いてるんだあ、と感心しながらあいさつ。どうやら彼は「ノボテル」と「イビス」で働いているようでした。仕事中の彼に申し訳ないのでほんの数分話をして帰ってきました。ケンドさんに会えてよかったのはもちろんですが、彼に会いに行くついでのホテル見学も目の保養になりました。

1月3日(土)「新タームスタート」

今日から新ターム(学期)がスタートしました。ベナン人も日本人同様正月休みなのか、どのクラスも軒並み出席率が悪く、寂しく授業が始まりました。私も10日ほど休んだのでまだ本調子ではありませんが、少しずつ調子を上げていかないと…

1月4日(日)「豆乳」

アムスさんと豆乳Rクラスの授業中、日本から旅行者の男性が見学に訪れました。野々村さんという大阪の方。いい機会だったのでRクラスの生徒たちに練習も兼ねて自己紹介してもらいました。Rクラスの後少し話を伺うと、彼も同業の日本語教師とのこと。引き続きA~Iクラスも見学していただきました。

今日のA~Iクラスでは、日本で豆腐作りの修業をしたアムスさんが家で豆乳を作りとても大きな入れ物に入れて持ってきてくれました。授業が終わったあとクラスのみんなと、野々村さんとでいただきました。基本的には日本の豆乳と同じということでしたが、甘い物好きのベナン人らしく砂糖がたっぷり入っていてとても甘かったですがおいしかったです。

1月5日(月)「ケーキ」

ケンドさんの手作りケーキ1月2日の日記で紹介したMクラスのケンドさんが午前中手作りのケーキを持ってきてくれました。今日の夜クラスに来ることができないという手紙と一緒に。クラスに来られないのはとても残念でしたが、ケーキは今日の夕食後ありがたくいただきました。見た目はスポンジケーキのようでしたが持ってみるとずっしり重く、中はしっとりしていて、食べてみると口の中にほんのりバナナのような香りが広がりました。甘さが控えめで甘いものが苦手な鬼頭先生もおいしいと言ってました。ケーキ好きの私もとても幸せな気分♪ケンドさん、本当にありがとう!

1月6日(火)「訪問者が多い1日」

今朝部屋でパソコンをいじっていたら秘書のベロちゃんが「先生、おねがいします」と呼ぶので何事か、と思ってテラスへ出てみると日本人男性の姿が。ジャパンハウスで話を伺うと宮川さんという北海道からの旅行者。3年近く海外を旅行しているということでした。13時からのQクラスと16時からの会話クラスを見学していただきました。

宮川さんが帰ってしばらくすると、今度はドライバーのフィルメンさんが「先生!」と呼ぶので何事か、と思ったら今度は私たちが親しくしていただいている中国人の王さんが奥さんと通訳の人(彼はゾマホンさんと中国で同級生だったといってました)と一緒にあいさつに来てくれました。王さんの奥さんは去年携帯の写真を見せてもらっていたんですが、実際お会いしてみるととてもかわいらしい方で、お二人とも幸せそうでした。

JKクラスが20時半に終わり、今度は生徒代表のトスさんが野々村さん(1月4日ブログで紹介)と一緒に教室へ。野々村さんのビザの問題があり今日1日トスさんと行動していたようでした。

1月7日(水)「コピー屋」

きのう、今日とコピーがしたくて行きつけの近所のコピー屋へ行ったんですが、きのうも今日もコピー屋は休みでした。コピー屋の並びの商店はほとんど閉まっていたので「まだ正月休みなのかなあ」と思い、近所を散歩して帰ってきましたが、このコピー屋がないと本当に不便で、少し先の50%割高のコピー屋か、交通量の多い道路を渡り10分ほど歩いたところのコピー屋まで行かなければなりません。あー困ったなあ、早く店を開けてくれないかなあ。

1月8日(木)「みんな、ありがとう!」

誕生日のケーキ今日も例のコピー屋へ行きましたが休み。仕方がないのでフィルメンさんと散歩がてらその少し先の1枚15CFAのコピー屋へ行きました。帰りにフルメンさんの友達が経営しているレンタルDVD屋を見学させてもらいました。残念ながらフィルメンさんの友達の姿はなく、彼の子供たちが店番をしていました。フィルメンさんの話では1枚借りるのに500CFAといってましたが、彼の日本語もまだ初級の下のレベルなので本当かどうかわかりません。でもベナンにもあるんですよ、レンタルDVD屋。

今日の夜クラス(JKクラス)が終わった後、ほかのクラスの生徒も教室に来て私の誕生日のパーティーをしてくれました。私の誕生日は1月1日だったんですが、生徒たちには言わず鬼頭先生だけに話したんです。鬼頭先生が生徒代表のトスさんに話して今日皆さんが集まってくれたということでした。アムスさんから豆乳を差し入れてもらいました。ゾマホンさんにはケーキをいただきました♪とてもおいしかったです。皆さん、本当にありがとうございます!

1月9日(金)「元気な子供たち」

夕方屋上で夕日を見ながら佇んでいると、下から子供たちが呼ぶので降りていきました。子供たちは「ボール、ボール」というのですがボールはないので身振り手振りで「ないない」というと、「折り紙で風船をつくれ」といっている様子。私は作り方を忘れたので鬼頭先生に来てもらい折ってもらいました。彼らは折り方には全く興味を示さず、出来上がった風船も取り合いになってしまいました。しばらくは風船でキャッチボールをして遊んでいましたが、さすが子供、飽きるのも早い。次は鬼ごっこのような遊びを始めました。みんなで手をつなぎ輪になって鬼は真ん中でおまじないのような言葉を言いながらつないだ手の上から砂をかけます。私も訳が分からないながらも一緒に手をつないで様子を見ていました。

何かこうして遊んでいると子供に帰った気分。今の日本の子供たちは危なくてあまり外で遊びませんが、私たちの子供のころは「鬼ごっこ」「缶蹴り」「かごめかごめ」「はないちもんめ」「乃木さんはえらいひと(だるまさんが転んだ)」「どろじゅん(泥棒役と巡査役に分かれた鬼ごっこのようなもの)」等など、暗くなるまで遊んだものです。ベナンにいると本当に子供のころを思い出します。久しぶりにくたくたになるまで遊びました。

1月10日(土)「ブードゥの日」

ブードゥ今日は「ブードゥの日」ベナンの祭日です。ブードゥについて私たちはよく知りませんが、要はベナンの伝統宗教です。私たちはMクラスのジェラさんにコメという街で行なわれるブードゥのイベントに連れて行ってもらいました。ジェラさんのお父さんはブードゥ界ではとても有名な方のようです。

コメには10時過ぎに到着。会場の準備はまだまだでした。ジェラさんにイベントの始まる時間を聞くと「10時です」やっぱりベナンのイベントだ!待ちきれないグループは勝手に歌ったり踊ったりしていました。待つこと約2時間、12時15分ジェラさんの父上も到着してようやくイベントが始まりました。ジェラさんのお父さんはステージに用意された中央の椅子に座り貫禄十分。写真を見ていただけば分かると思いますがとても立派な方でした。

最初はいろいろなブードゥの神様?が登場したりしておもしろかったんですが、次第に人が真ん中に集まりだして私たちの席からは何も見えず声だけが聞こえるようになりました。そんな状態が1時間半ほど続き私たちも何がなんだか分からず帰りたくなったころ、ようやく集まっている人々に周りに移るようアナウンスがあり各グループの歌と踊りが始まりました。

ブードゥ一番左がジェラさんの父上

最初は皆周囲から見ていたんですが、時間とともにテレビ局のカメラが真ん中のいい位置にいるのをいいことに一部の人々がまた真ん中に集まり始めました。警官も注意するどころか一緒になって見ている始末。ほんの一部の心無い人のおかげで多くの人が残念な思いをしました。

でもジェラさんのお父さんは本当にすごい人だったんだと改めて知ることができました。

1月11日(日)「Rクラスのみなさん、ありがとう!」

Rクラスの生徒たちのプレゼント今日のRクラスが終わった後、ドライバーのフィルメンさんが「先生、少し待ってください」というので何事かと思ったら、どうやら私たちにプレゼントがあるらしく、日本語がまだまだ話せないRクラスの生徒に代わってフィルメンさんが「生徒は先生にあげます」と簡単に説明してくれました。いまだにプレゼントの意味はよく分からないんですが、どうやら新年のプレゼントということらしく、ありがたく頂戴しました。鬼頭先生はサンダルと服の布地、私はサンダルとベナンの王様の刺繍がついた帽子を2個いただきました。なかなかかわいいでしょ。

Rクラスのみなさん、本当にありがとうございます!

1月12日(月)「ミュージックビデオ」

今日の昼クラス(Lクラス)のあと、生徒のジットレヌさんの音楽グループのミュージックビデオをみんなで見ました。そのビデオには何と鬼頭先生も出演していて、どんな仕上がりかとても楽しみだったんですが、実際の映像を見てみるととても笑顔が素敵でよく映っていました。

このビデオはベナンの各テレビ局で放送されるということで、生徒たちからの反応がとても楽しみです。みなさんもみてみたいでしょ。でも本人は少し恥ずかしいそうです。

1月13日(火)「不覚にも…」

ここ2週間ほど朝晩は涼しくなってきました。アルマタン(大乾季)の影響でしょうか。そのせいかどうかはわかりませんが、きのうから鬼頭先生も私も風邪の症状が現れ始めました。のどがいがらっぽく、体もだるい。朝食を軽く済ませ風邪薬を飲みそのままベッドに横になりました。薬が効いたのか午後は少し良くなり、調子が悪い鬼頭先生に代わって会話クラス2時間と夜クラス(JKクラス)1時間半を何とか終えることができました。クラスのあと生徒のファドヌボさんと約1時間ほど話していたら再び体がだるくなり夕食後は薬を飲んですぐに休みました。あー、早く治さないと…

1月14日(水)「オルーさん」

今朝ものどの痛みと体のだるさが治まらず軽く朝食を食べ薬を飲んで午前中は横になっていました。

今日の昼クラス(Lクラス)は書き初めを書くことになっていたのでその準備をしようと教室へ行くと見知らぬ男性が…流暢な日本語で自己紹介され日本に留学中のオルーさんだとわかりました。ジャパンハウスで鬼頭先生にも紹介し1時間ほど話をしました(鬼頭先生はLクラスの授業があり残念ながらあまり話ができませんでした)。

彼は今長野県に住んでいて、日本で環境の勉強をしています。去年の暮れにベナンに帰ってきたと聞いていましたが、なかなか連絡が取れず心配していました。今回ベナンでの滞在期間は1ヶ月弱と短く、とても忙しい中ジャパンハウスに足を運んでくれました。長野の寒さはベナン人の彼にはかなり応えるようですが、それでもスノボーや温泉など日本での生活を楽しんでいるようでした。彼が日本へ帰るのはあさってということで、最後にLクラスの書き初めを見学して慌しく帰って行きました。

日本で頑張っている留学生の姿を見るたびに、私たちも頑張らなければ、と思います。

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