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NPO法人IFE

日本語教師の窓

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お便り 46 - 4月前半

山下先生 編

4月1日(水)「年度初め」

気がつけば4月。早いものです。きのうゾマホンさんも日本に戻り、いつもののんびりしたジャパンハウスです。

日本で長いことサラリーマンをしていたので、年度初めに何かしなければ気が済まなくなってしまったようで、だからといって特にすることはないんですが、無理やり何かしなくては… と考えたとき「そうだ、床屋行こう!」

ちょうど朝食の準備も遅れていたので、朝食前に出かけました。1人で。これまではドライバーのフィルメンさんについてきてもらっていたんですが、どうせ坊主なんだから床屋の兄ちゃんの頭を指差せばわかるだろう、と思ったんです。

床屋までの道のりは徒歩3分。少しドキドキしながら店をのぞくと、誰もいませんでした。床屋の兄ちゃん、私を覚えてくれていたみたいで(この床屋に来る 「ヨボ(白人)」なんて私ぐらいでしょうから)、座って鏡越しに目配せすると何も言わずにバリカンを私の頭に押し付けました。20分ほどで「坊主頭、1丁 上がり」

4月2日(木)「イェワダンさん、ごめんなさい…」

木曜日は「たけし日本語学校」にとって「週末」です。今日が終わると明日は休みです♪

私にとって午前中はいいのですが、午後はほんの少しだけハードです。ちなみに木曜午後のスケジュールは…

  • 13:00〜14:30Qクラス(鬼頭先生担当)の補助
  • 16:00〜18:00会話クラス(私の担当)
  • 19:00〜20:30JKクラス(私の担当)

これまではどうということはなかったんですが、なぜか今日はきつかった。たぶん会話クラスが終わった後、アムスさん(会話クラスの生徒。日本で豆腐修業をしたことがあります)と彼の特別クラスを始めることについて話をしていたら、そのままJKクラスの時間になってしまい、休まなかったからだと思います。

最後のJKクラスのとき、ファドヌボさん(女性の生徒2?歳)がぼーっとしていたので何度も名前を呼んで注意したんです。そのときみんなの様子がおかしいことに気がつきました。「みんな、どうしたの?」

しばらく考えた後、冷や汗が…「ファドヌボさんっ!!!」と言っていたつもりが、なぜか「イェワダンさんっ!!!」と言っていたんです。イェワンダンさんは女子大生、彼女から白い目で見られてしまいました。あ〜あ、やっちゃった。

「イェワダンさん、本当にごめんなさい」

4月3日(金)「久しぶりに…」

フィジョロセのビーチ帰国中の留学生ポヌさんの提案で、今日はビーチへ行くことになりました。11時半ごろジャパンハウスを出発。途中、街の中心の郵便局(私書箱)に立ち寄り郵便物をチェックした後、フィジョロセという街のビーチへ向かいました。フィジョロセはジャパンハウスから車で40分ほどのところにある街。比較的近いのですがなかなか行く機会がありませんでした。私は去年の7月に前任の成田先生と日本に留学中のジャーン・エドさんのお母さんと一緒に行ったことがありましたが、鬼頭先生はクラスがありそのときは行くことができませんでした。ポヌさんにとってもビーチは久しぶりのようでした。

途中車が砂にはまったり休めるところを探したりして、ビーチに着いたときには13時半を回っていました。ベナンのビーチへ来ると私はいつも

♪うみはひろい〜な、おおきいな〜、つきがのぼるし〜、ひがしずむ〜

という歌を思い出します。

フィジョロセのビーチ着いてすぐ青く広がる海を前にみんなで昼食。昼食はポヌさんとベロちゃんが作ってくれたサンドイッチとアチェケ(ベナン料理)でした。飲み物はドライバーのイレネさんがジュースをご馳走してくれました。「あ〜、おいしかった」ご馳走様の後はみんなで水辺で子供のようにはしゃぎまわりました。波が高く、みんな水着でもないのにびしょぬれになってしまいました。

遊んでいるときは良かったんですが、遊び終わって濡れた状態がとても気持ち悪く、「早く乾かないかなあ」と日なたで佇んでいたんですがなかなか乾きません。本当は日陰で波の音でも聞きながら寝っ転がりたかったんですが、それも叶わず、ず〜っと日なたで過ごしてしまいました。

結局17時過ぎにビーチを後にしましたが、最後まで乾きませんでした。でも、ベナンのとっても広い砂浜でどこまでも青く広がる海と空を見ながら潮騒を耳にして、とっても贅沢な時間を過ごすことができました。

4月4日(土)「アジョウさん、いってらっしゃい!」

明日はRクラスのアジョウさんが日本へ出発する日。以前から日本へ留学するという話は聞いていたけど、もう明日なんだ…今日のRクラスが終わった後、「先生、私はあした日本へ行きます」と言われ、嬉しい気持ちが半分、寂しい気持ちが半分。彼は日本行きが決まっていたこともあり日本語の勉強もとても熱心で、定期試験はいつもクラスで一番でした。私がクラスで下手くそな説明をするといつも彼がフォローしてくれました。

クラスの後名刺を交換して「頑張って!」と言い別れました。彼はこれから北海道大学で日本語のインテンシブ(集中)コースを半年間受けた後、帯広畜産大学で2年間獣医の勉強をします。ベナンから北海道…冬の寒さに耐えられるのか、それだけが心配です。

アジョウさん、頑張ってね!そして北海道の皆さん、どうぞアジョウさんをよろしくお願いします。

4月5日(日)「また停電」

ここ最近、土、日曜の夜クラス(OPクラス)の時間に必ずといっていいほど停電になるんですが、今日もクラスの途中で停電になりました。本当にベナンの電力事情はよくありません。やはり自国に発電所がないというのは問題です。フィルメンさんに発電機を回してもらい授業を再開しました。OPクラスの生徒は慣れたもので、「あ〜あ、またです」と言っていますが、私はただただ呆れるばかり。

4月6日(月)「ルペさん、久しぶり!」

残念なことなんですが、JK、L、M、Qの各クラスは今生徒数がかなり減ってきてしまいました。JKの皆さんは日本語の勉強を始めて3年以上、Lクラスの皆さんは約2年半、Mクラスの皆さんは約2年経ち、挫折してしまったり、仕事が忙しくなったり、仕事が変わり時間が合わなくなったりで各クラスとも5人前後です。Qクラスはまだそれほど長いクラスではありませんが、昼間という時間設定に問題があり10人前後です。

Lクラスのルペさんもそんな中の1人ですが、今日久しぶりにLクラスに出席しました。が、クラスが始まってすぐ携帯の着信音を鳴らし、早速鬼頭先生に怒られていました。でもルペさん、カンフーの仲間でライバルのアキムさんの日本語が上手になっている姿を見て、必死に授業について来ていました。ルペさん、頑張れ!

今日の夕方、A〜Iクラスのアムスさん(会話クラスにも参加)が日本語能力試験(平成18年度)の3級にチャレンジしました。だいたい初級が終わったぐらいの学習者が受験するレベルで、60%以上が合格なんですが…

アムスさんはまだ初級が終わっていませんが、採点の結果は84%。私たちが予想していたよりいい点だったのでとても嬉しかったです。

4月7日(火)「アムスさんの特別授業スタート」

近い将来日本に行くことが出来る生徒を育てる目的で、今日からアムスさんの特別授業が始まりました。毎週月曜日〜木曜日の午前10時〜12時までの2時間で、月火は私、水木は鬼頭先生の担当です。今朝はきのうの日本語能力試験の嬉しい結果が伝えられると思っていたんですが、初日から5分遅刻し私と鬼頭先生に怒られました。

今日はきのうの試験の答えあわせをしましたが、未習項目を除き問題ありませんでした。彼はとても勉強熱心で30分ほどオーバーして終了。今後が楽しみです。

4月8日(水)「雨季」

ジャパンハウス前の建設現場今朝は久々に雨音で目を覚ましました。時計を見ると6時少し前。慌てて窓を閉め、もう一度ベッドに横になりましたが、次第に雨脚が強くなり、そのうち雷雨に。7時ごろ止みかけましたが、止むことなく再び強い雨に。昨夜Mクラスのアフォマセさんから今日の午前中修了試験の追試をしたいと言われていて、果たしてくることが出来るか心配しましたが、時間通りにやってきました。教室はアムスさんの授業があるのでテラスでしました。きのう遅刻したアムスさんも今日は雨に濡れながらも時間前に来ました。

ベナンはそろそろ雨の季節。この雨、果たして雨季の始まりを告げる雨なんでしょうか。

4月9日(木)「JKクラスも…」

雨の後のジャパンハウス周辺木曜日の夜クラス(JKクラス)の生徒たち。毎回来る生徒はオバグさん(女子高生)とイェワダンさん(女子大生)の2人。時々休むのはファドヌボさん(女子大生)、時々来るのがフンテンニョさん(学校の先生)、チェタンニさん(大学生)、たまに来るのがHIクラスだったアジェさんとLクラスのニャンビさん。

今日は最初オバグさんとファドヌボさんの2人だけで、「いよいよ少なくなったなあ。今日は2人だけかあ」と思いながら授業を始めると、後からイェワダンさんとフンテンニョさんがやってきて4人に。もう少し後に話そうと思っていましたが、今日ほかのクラスとの合併を考えているということを話しました。いよいよどのクラスと一緒に授業しなければならないか考えないといけないなあ。

4月10日(金)「コピー屋」

ジャパンハウス前の建設現場最近行きつけのスタジアム近くのコピー屋。ママもいい人だし、ママの子供も可愛いし、自分たちで勝手にコピーできるのでとても良かったんですが、今日はコピー機の調子が悪かった。私たちが毎回大量にコピーするもんだから、それが原因で壊れたのかなあ。今日も大量にコピーしたかったんですが、給紙トレーの紙は紙詰まりがひどく、1枚ずつ手差しでコピー。あまりに時間がかかったので途中で止めて帰ってきました。

いよいよ新しいコピー屋を開拓しなければならない時が来た?

昼過ぎ、子供達と遊んでいるとき、エメファという女の子が私にフランス語の歌を教えてくれました。“PetitPoisson”(直訳すると「小さい魚」)という歌。少し悲しいメロディーの歌ですが、みんな知っているようで一緒に歌いました。

4月11日(土)「アジョウさん、無事着いたんだ!」

ジャパンハウス前の建設現場今朝は新しいコピー屋を見つけるため、朝食を早く済ませコピーの原稿を準備してジャパンハウスを出ました。当てもなくスタジアム方面に歩いていきました。何軒かコピー屋はありましたが値段が書いてない。値段交渉は面倒なので、「10CFA」の看板があるコピー屋を目指しました。ジャパンハウスから10分ほど歩いたところに看板発見!店の中に置いてあるコピー機は古そうで頼りなかったが、店にいたママが優しそうだったので挨拶して「フォトコピー」というと笑顔でうなずいてくれました。コピー機が頼りないので枚数を少なめに頼みました。ママはコピーしながら子供にごはんを食べさせたり、途中紙がなくなり紙を買いに行ったりしましたが、何とか無事にコピーをすることができました。最後に「エダボ!(さようなら)」というとママと一緒に子供たちも笑顔で応えてくれました。

夜メールをチェックしていると、アジョウさんからメールが届いていました。半分日本語(ローマ字)、半分英語で書かれていましたが、無事に札幌に着いたとのこと。よかったよかった。札幌の街も気に入ったようで、「私も札幌が好きです。食べ物もおいしいですよ。頑張って!」と返事を書いてから寝ました。

4月12日(日)「復活祭」

ジャパンハウス前の建設現場今日はキリスト教の祝日イースター(復活祭)です。私たちの学校を休みにするかどうか悩んだんですが、結局Sクラス(トス先生担当)を除き休みにしました。

ちなみにキリスト教のことを良く知らないので、「復活祭」を百科事典で調べてみました。

「イエス・キリストの復活を祝うキリスト教最古・最大の祝日。春分のあとの満月に続く日曜日がこの祝日となり、3月21日から4月25日の間を年によって移動する。」(以下略。『ブリタニカ国際大百科事典』)

「英語ではイースター。キリストが死んで3日目に復活したことを祝う。」(以下略。『百科事典マイペディア』)

キリスト教徒にとって大切な祝日なんですね。そして、移動する祝日なんですね。そんなことすら知りませんでした。

そんな大切な祝日ですから、最初「授業をします」と言ったときにはブーイングが多かったんです。そこで急遽、本日の各クラスはトス先生を除く私たち日本人教師の判断で中止にした次第です。

こんな特別な日ですが私たちは特別何をしたというわけでもなく、私は夕方寺嶋さんとキャッチボールをして、その後近所の子供達と遊びました。最初のうちは子供達とキャッチボールをしていたんですが、グロリアという女の子が手作りの太鼓をたたき一緒に踊ろう、というので2人で踊っていました。そのうち日も暮れて辺りがよく見えなくなりましたが、それでも踊り続けていると、ヨボ(白人)が変な踊りを踊っているのが珍しかったのか、近所の人が集まってきました。

そんな折、外出していた留学生のポヌさんが帰ってきて私の下手な踊りを見られてしまいました。あ〜、恥ずかしい。

4月13日(月)「やっぱり雨季」

今朝は雨でした今朝は洗濯しようと考えていたんですが、8時ごろ雨が降り出したので洗濯は中止。そういえば去年も洗濯しようと思うときに限って天気が悪かったことを思い出しました。アルマタンのときは天気の心配をしなくてもよかったなあ。それを考えるとやっぱり雨季が始まったんでしょうね。

今日の雨も次第に激しくなり、「アムスさんは特別クラスに来ることができるかなあ」と心配していたら、ちゃんと10時5分前にやって来ました。ずぶ濡れでしたが、レインコートを着ていたので被害は少なかったようです。

ちなみに今日の昼クラス(Lクラス)は、この大雨のせいか、それともイースターのためか、1人もクラスに来ませんでした。

雨の後のジャパンハウス周辺ジャパンハウス前の建設現場

私たちと一緒にジャパンハウスで生活していた留学生のポヌさんは、今日から自分の勉強のために大雨の中トーゴに出発しました。2〜3ヶ月滞在するそうです。ポヌさん、頑張ってね!

4月14日(火)「事故」

先日アムスさんが「日本語能力試験3級」にチャレンジしたとこのブログで書きましたが、今週からA〜I,JK,L,Mの各クラスでも能力試験をすることにしました。A〜Iは3級、JK,L,Mは4級です。今日はJKクラス。

ファドヌボさん、フンテンニョさんはあらかじめ欠席すると聞いていましたが、チェタンニさんが時間になっても来ません。ずっと待つわけにいかないので結局イェワダンさん、オバグさんの2人だけでテストを開始しました。テスト開始から1時間後、ようやくチェタンニさんがやってきましたが、テスト中だったのでテラスで待ってもらいました。その間、鬼頭先生がチェタンニさんと話をしましたが、どうやら彼はオートバイで学校に来る途中、車に追突されたということでした。幸い怪我はないようでしたが元気もなかったので、今日はそのまま帰しました。

最近コトヌーの街にも信号が増えてきましたが、それでもまだ十分ではありません。無理な運転をする人も多く、私たちもしょっちゅう事故を目撃します。事故にあう生徒も多いので気をつけるよう言っているんですが…

4月15日(水)「ファドヌボさん、頑張って!」

きのう、JKクラスで能力試験をしているとき鬼頭先生がやってきて、「今年の共立女子大学への留学はファドヌボさんに決まったそうです」と教えてくださいました。そうか、とうとう決まったか…

彼女は性格的にのんびりしているので日本での生活に耐えられるか、私たちはとても心配です。日本語の勉強もどちらかというと「のんびり」です。でも、決まったからには頑張ってもらうしかありません。恐らく9月中旬には日本へ行くことになるでしょうから、それまでの残り5ヶ月で彼女がやる気を見せてくれることを期待します。

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