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NPO法人IFE

日本語教師の窓

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お便り 70 - 4月前半

藤波先生 編

2010年4月1日(木)小刻みに

小刻みな停電に悩まされました。恒例の10時間停電の後、やっと復旧したと思うと10分から30分おきくらいの感覚で小刻みに停電します。

こういう時はもうあきらめて寝るしかないんですね。暗闇の中で寝ころがりながら授業の構成を考えています。

授業の時の停電もやっぱり困ります。先日は、授業中10分おきに短い停電があって、授業に出席していた秘書のダベデさんはその度に発電機の所まで走って行って、発電機を回したり止めたりしていました。何回も教室と発電機の往復を繰り返していたので、ダベデさんは疲れきってしまい、それはそれでおもしろい光景だったのですが、さすがにベナン人の皆さんもこの停電には呆れ気味のようでした。

しかしいつまで続くのでしょうか、この停電は。このまま今の状態が普通になってしまいそうでこわいです・・・。たぶんそうなったらそうなったで、私達も何とかやっていくんでしょうが・・・。すでにこの停電地獄に慣れてきている自分にちょっと驚きます。こうやって、人間は環境に適応していくんですね〜。

藤波

2010年4月2日(金)強力粉でうどん

うどん山下先生の夢は、将来ベナンでうどん屋を開くことらしいです。今日はその夢の実現のための第一歩として、ジャパンハウスでうどんを作ってみました。強力粉で。

なぜ強力粉で作ったかというと、強力粉しか見つけられなかったからです。スーパーで薄力粉も探してみましたが、どうしても見つけることができませんでした。

というわけで、以前うどん屋で働いていた経験をお持ちの山下先生に、強力粉でうどんを作っていただきました。強力粉のうどんは、当たり前ですがかなりこしがあります。おそらく「こし」という言葉は適切ではないと思うのですが、とにかく硬いです。そして、太いです。しかし、山下先生は工夫に工夫を重ね、比較的細めの麺を作ることに成功しました。それを茹でて、麺つゆでいただきました。

すいとん風のうどんでしたが、とってもおいしかったです。やっぱりうどんはいいですね。日本の料理は偉大です。ベナンに来て本当にそう思います。
ちなみに今私が一番食べたいものは、納豆です。しかしさすがにこれは作れないし持って来られないので、もう少し我慢したいと思います。

藤波

2010年4月4日(日)ミスコンテスト

最近やたらとミスコンテストに招待されます。もちろん私個人が呼ばれているわけではなく、たけし日本語学校(IFE財団)としてミスコンテストに招待されているのです。

その理由は、ミスコンテストの主催者が、上位入者の賞品として「たけし日本語学校で勉強できる権利」をつけているからです。もともと無料のたけし日本語学校を賞品にしてどうするのだろうという疑問はありますが、とりあえず私はきれいな女の人を見る機会が増え、若干精神的な潤いを得ています。

そのミスコンテストのコンセプトは「きれいで、頭がいい女性を選ぶ」ということらしいです。つまりきれいなだけじゃだめなのです。教養もなければいけません。ミスの候補者は8名で、ほとんどが高校生です。審査項目は歌(歌自体は口ぱくなので、表現力を見るためのものだと思われる)、ダンス、ベナンの伝統的な踊り、1対1のディスカッション、グループディスカッション、ペーパーテストと多岐にわたります。それら全てを、ステージ上で行い、それを審査員が審査するのです。観客は候補者の家族が多いようでしたが、とにかく野次がすごい。野次に負けて途中でディスカッションを放棄してしまう候補者もいました。

わたしはトス先生と一緒に、たけし日本語学校代表として参加しました。当初は座っているだけでいいということだったのですが、着いてからプログラムを見てみると、しっかりスピーチすることになっていました。もちろん事前の打ち合わせ等はありません。スピーチをして下さいという正式なオファーもありません。この辺は予想の範囲内なのですが、なんと、審査員が来ないとかでトスさんが急きょ審査員をすることになってしまいました。トスさんはまじめな性格なので、真剣に審査員をしていました。私はトスさんの隣に座って、「絶対に2番がいい」と言い続けていたのですが、トスさんに「先生、2番はとてもきれいですが、フランス語があまりきれいじゃありません。テストもあまりよくないです。」とあっさり却下されてしまいました。

ミスコンテストコンテスト自体は、いつも通り2時間遅れで始まり、いつも通りの行きあたりばったり進行で、なかなかスムーズに進みません。さらに、隣の審査員席では、トスさん対他の2名の審査員の間で何やら戦いが繰り広げられています。トスさんに聞いたところによると、トスさん以外の審査員とミスコンテストの主催者は賄賂をもらっているらしく、不自然にある一人の候補者を一位にしたがるらしいのです。ベナンの政治は賄賂の噂ばかりですが、ミスコンテストで賄賂に遭遇するとはちょっと驚きました。しかし、これは一体どうなるのか。主催者側が一位にしたい候補者はどう考えてもベスト3に入れるかどうかも怪しいレベル。私がいち押しの2番と、ずば抜けて優れている4番の争いになりそうなのは、誰が見ても明らかでした。賄賂が勝つのか、良識が勝つのか・・・。

結果は、4番が一位、2番が二位でした。トスさんが一人で最後までがんばったらしいです。えらい!しかし3位は賄賂組に押し切られたらしく、こちらから見ていても「あの子が3位?」という結果でした。

なんだかとてもおもしろいミスコンテストだったのですが、終わって時計を見ると、なんと深夜12時半・・・。予定を3時間近くオーバーしています。ま、楽しかったからよしとしましょう。6時間近く一人で賄賂組と闘い続けたトスさん、本当にお疲れ様でした。

写真は、ミスコンテストの1位から3位の皆さんです。

藤波

2010年4月5日(月)眠れない夜

なかなかうまくいかないことがあります。理不尽なことが山ほどあります。でも、そこでふてくされたりへこんだり、集団で理不尽さに対して愚痴っても何の意味もありません。眠れないほど悔しいけど、そこでどれだけ自分と生徒に対して厳しくなれるか、そこが勝負の分かれ目だと思います。集団で傷を舐め合っても仕方がないので、その理不尽さに対してどうやって立ち向かっていくか、どうやって状況を好転させるか、それを考えなければなりません。

藤波

2010年4月10日(土)ビジネスマン

たけし日本語学校には、よく日本人の方が見学に来られます。多くはアフリカ一周や半周旅行中の方や、短期旅行中の方が多いです。

しかし、今日たけし日本語学校にいらっしゃった方は、ビジネスが目的でベナンに滞在されている方でした。その方が働いている商社では、今後ベナンでのビジネスを前向きに考えているとのことでした。こういう話は本当にうれしいです。日本企業がベナンに進出してくるということは、それだけたけし日本語学校の生徒のチャンスが広がるということです。

もちろん話はそう簡単ではありません。ビジネスで通訳をできる程のレベルに達している生徒はごくわずかです。それに現時点では企業側も、日本語—フランス語の通訳ではなく、英語—フランス語の通訳を探す可能性が高いです。実際に今回見学に来られた方も、英語—フランス語の通訳の方と一緒でした。日本人が英語を流暢に話せるのであれば、それで問題ないわけです。

しかし、もちろん進出してくる企業が増えれば、そしてひとつ、ふたつと前例ができれば、たけし日本語学校の生徒が通訳として、また現地社員としてその企業で働くことも夢ではないと思います。道はまだ遠いですが、日本大使館ができたことで、少しはその夢に近づいているような気もします。現在3ターム目に入ったビジネスコースは、基本的に日本で働く時に必要な日本語を教えていますが、もちろんそれはベナンで日本人と働く時にも役立つものです。いつか、このビジネスコースの内容が、生徒の役に立つ日がくればいいなと思います。

藤波

2010年4月11日(日)気を抜くと・・・

ベナンに来て、ほぼ10ヶ月になろうとしています。今まで、トータルで400コマ位は授業をしてきたと思います。毎回の授業の前に作っている教案もかなりの数になりました。だからと言って油断していたつもりはないのですが、知らないうちに少し気が緩んでいたのかもしれません。

今日の夜のOPQクラス。授業をしながら、何となく生徒の反応が悪いことは感じていました。そして授業が終わる間際に一人の生徒が言いました。「先生、○○(今日の指導項目)は何ですか?」。つまり今日勉強した内容が全く伝わっていなかったということです。非はもちろん教師にあります。いきなり横っ面を平手打ちされたような気分です。

このOPQクラスは、来週も同じ内容をしますが、来週こそは絶対にわかりやすい授業をしてやる!と心に誓いました。他のクラスでももう一度初心に返って授業をしたいと思います。何事も初心を忘れちゃいけませんね、ほんとに。

藤波

2010年4月12日(月)Honda

今日の午前中、ホンダの営業担当の方がたけし日本語学校に見学にいらっしゃいました。この方は、以前にも一度たけし日本語学校に来て下さっていて、私や山下先生とはすでに顔なじみです。ベナンの交通はバイクが主なので、ベナンでホンダのバイクをもっと流通させたいということでした。

先日たけし日本語学校にいらっしゃった商社の方と言い、今回のホンダの方のといい、日本人のビジネスマンの方がたけし日本語学校にいらっしゃることが増えてきたように思います。それだけ日本企業がベナン(西アフリカ)に目を向けているということでしょうか。この流れが、もっと強い流れになればいいなと思います。

藤波

2010年4月14日(水)荷物が

ついに日本の家族から送ってもらっていた荷物が私の手元に届きました。国際宅急便の会社の営業所に足を運ぶこと7回、費やした時間は、荷物がベナンに到着してから約2ヶ月。さらにさらに、完全にどこかに行ってしまったと思ってあきらめていた郵便の荷物も、郵便局の倉庫で見つかりました。こちらは日本を出発してから私の手元に届くまで、航空便で5ヶ月ほどかかりました。とにかくよかったです。

ふたつの荷物は、ほぼ内容物が同じだったため、私の部屋にはいきなり物があふれてしまいました。おそらくふりかけや梅干しは半年分くらいはあると思います(笑)。さらには味の素も手に入りました。日本の家族に感謝です。梅干しとふりかけと味の素があれば、私と山下先生の食生活はかなり豪華なものになります。私達が自炊するのは基本的に毎週金曜日だけですが、うめぼしとふりかけは、今後週一回のささやかな楽しみになりそうです。

藤波

2010年4月15日(木)されどインターネットは使えず

今回、私が日本から送ってもらった荷物の中で、ある意味最も重要なものは、インターネット接続のための電話回線の変換アダプターと、アナログモデムでした。ジャパンハウスのインターネットはダイヤルアップですが、私のパソコンは比較的新しいタイプのものだったため、ダイヤルアップ用のモジュラージャックがついていいなかったのです。まさか自分のパソコンにダイヤルアップ用のジャックがないなんて、ベナンに着くまで気がつきもしませんでした。

とにかくそういうわけで、私はベナンに来てから10ヶ月程、インターネットはネットカフェに自分のパソコンを持ち込んでするか、山下先生にパソコンを借りてしてきました。しかしながら、頻繁にネットカフェに行けるわけではありません。さらに埃だらけのネットカフェで、しかも半分屋外という環境で自分のパソコンを使うというのはかなり度胸がいります。雨期には道が水溜まりだらけになるので、水没のリスクも増します。山下先生にパソコンを借りる時も、山下先生の仕事を中断させてしまうことになり、迷惑をかけることになってしまいます。時にはネットに接続するまでに30分近くかかってしまうこともあり、そういう時は長時間パソコンをお借りすることになってしまうので、本当に申し訳ない気持ちになります。

というわけで、何とかこの状況を打開するべく、日本から電話回線変換アダプターとUSBアナログモデムというものを送ってもらいました。そして、先日やっと日本からの荷物が届きました。期待するな、期待するな、と自分に言い聞かせながらも、つい期待は膨らんでしまいます。

そして結果は・・・、残念ながらインターネットは使えませんでした。

非常に、残念・・・。

かくなるうえは、日本で中古のパソコンを買ってもらい、ゾマホンさんがベナンに一時帰国する際に持ってきてもらおうか、などと考えています。私はもう一年ベナンにいることにしたので、日本の事務局と連絡を取るためにもインターネットはどうしても必要なのです。しかも山下先生は6月で日本に帰ってしまいます。何とかしなければなりません。今後もしばらくはインターネットとの戦いが続きそうです。

藤波

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