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NPO法人IFE

日本語教師の窓

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お便り 87 - 12月後半

藤波先生 編

2010年12月18日(土)運命のテスト

今日は初級3土日クラスのテストの日でした。

初級3土日クラスは10月から12月まで、クラスを二つに分けて授業をしてきました。9月に行ったテストで点数のよかった人は市川先生が担当するクラスに、9月のテストが悪かった人は、私が担当するクラスにそれぞれ振り分けられました。ちなみに市川クラスは生徒数5名。藤波クラスは生徒数12名です。つまり、みんなできなかったということです(笑)

クラスを分けた理由は二つあります。ひとつはクラス内でできる生徒とそうでない生徒の差があまりにも激しかったことです。もうひとつの理由は、これからこのクラスは一段と難しい内容を勉強しなければなりませんから、今までの内容が理解できていない人は間違いなく授業について来られません。というわけであまり理解できていない生徒に復習をしてもらおうと考えたのです。10月から12月までの3ヶ月間、藤波クラスは授業でひたすら今まで勉強した項目の復習をしました。宿題もたくさん出しました。かなりハードな3ヶ月でした。

そして、藤波クラスは今日テストをしました。ただのテストじゃありません。このテストで70点以上取れなかった生徒は、ひとつ下のクラスに移らなければなりません。このクラスの人たちがこれほど必死で勉強している姿を私は初めて見ました。やっぱりみんな下のクラスには移りたくないようです。
果たして、何人がこのクラスに残ることができるのでしょうか。

藤波

2010年12月19日(日)テストを終えて

今日、初級3土日クラスの人たちにテストを返しました。昨日も書きましたが、このテストで70%以上取れなかった生徒は、下のクラスに移らなければなりません。

結果は、12人中、現在のクラスに残れるのは8人でした。残念ながら4人は下のクラスに移ることになってしまいました。でも、わからない授業を聞いているよりは、下のクラスでもういちど勉強した方が絶対にいいので、今回の措置は今までに比べると厳しいですが、これでよかったのではないかと思っています。

今年は他のクラスでも、テストができなかったり、基礎ができていないと判断された生徒は下のクラスに移ってもらうようにしてきました。生徒を適正なレベルのクラスに配置するようにしたわけです。おそらく、来年は今年よりも授業がしやすくなり、生徒も緊張感を持って授業に臨めるようになるのではないかと思っています。

藤波

2010年12月21日(火)加藤さんベナン到着

今日の午後11時頃、加藤卓さんがベナンに到着されました。

加藤さんは今日から約6ヶ月間、ジャパンハウスで私達と生活することになります。

とは言っても、加藤さんのお仕事は日本語教師ではありません。現在日本のIFEを中心に展開されている「産業支援プロジェクト」の調査員として、ベナンにいらっしゃったのです。「産業支援プロジェクト」はベナンに産業をおこすことを目的としてスタートしたプロジェクトです。まずはベナンのシアバターを日本に輸出し、それを日本で製品化して売り出す、という流れを作ることが目標です。

加藤さん到着すでに日本ではベナン産のシアバターが製品化されていますが、今回加藤さんはさらにベナンでのシアバター製造の流れを確実なものにし、将来はベナン人のみでシアバタービジネスを動かせるように、基盤づくりをする予定だそうです。

IFEの活動は、日本語学校の運営、小学校と井戸の建設、そして給食プロジェクトなど、いくつか柱がありますが、今回さらに「ベナンに産業をおこす」という3つ目の大きな柱が加わりました。加藤さんは、JICAなどで30年以上もこういうプロジェクトにたずさわってこられた方です。こういう方がプロジェクトに加わってくださるのは、本当に心強いことです。

たけし日本語学校の生徒にとっても、これはひとつの大きなチャンスになると思います。この産業支援プロジェクトの一員として働く生徒が出てくるかもしれませんし、働くことはできなくても、加藤さんのお話を聞くだけでも学べることがたくさんあると思います。

私も個人的に、加藤さんのお話からいろいろなことを学ばせていただきたいと思っていますし、生徒達と加藤さんの交流の場をできるだけ設けたいと思っています。
今回の加藤さんのベナン到着で、IFEとたけし日本語学校が何か新しい段階へと進んだという実感があります。
今後がとても楽しみです。

藤波

関連リンク:

2010年12月25日(土)サンタさんのお願い

今日はクリスマスです。

今日は日本ではサンタクロースが大忙しだと思いますが、ベナンにもちゃんとサンタクロースはいます。サンタクロースはフランス語で「パパ・ノエル」と言います。子ども達はみんなパパ・ノエルが大好きです。

今日の夕方、ジャパンハウスの前の通りにパパ・ノエルがやってきました。ちゃんと赤と白の衣装を身にまとい、顔には白人のお面をつけていました。やはりパパ・ノエルはヨボ(白人)でなければいけないようです。

パパ・ノエルパパ・ノエルの周りには近所の子ども達が大勢群がり、「パパ・ノエル、パパ・ノエル」と叫んでいます。私も子ども達と一緒にパパ・ノエルの様子を眺めていました。すると、パパ・ノエルが私に向かって手招きをしています。何で子どもじゃなくて私を呼ぶのか不思議に思いながら、私はパパ・ノエルに近づきました。近づいてみると、彼の周りには何とも言えない香りが漂っていました。気温30度を超える中でこんな衣装を着ていたら汗をかくのは当たり前です。すえた臭いを放ちながらがんばっているパパ・ノエルに対して、私は「お疲れ様です」と言いました。するとパパ・ノエルが私の耳もとでこう囁いたのです。

「何かくれ」

私は一瞬パパ・ノエルが何を言っているのかよくわかりませんでした。するとパパ・ノエルはもう一度囁きました。

「何かくれませんか」

・・・2回目はちょっと言い方が丁寧になっていました。

子ども達にプレゼントを配るのが仕事のはずのサンタクロースに「何かくれ」と言われました。しかも周りにいる子ども達を気にして、こっそり、囁くように。とてもおもしろかったのですが、さすがに子ども達の夢を壊すことになると思ったので、何もあげませんでした。

その後パパ・ノエルは子ども達に囲まれながら去っていきました。

今年のクリスマスはとても貴重な経験ができました。

写真は、パパ・ノエルと、パパ・ノエルに怯える子ども(イレネさんの息子)です。

藤波

2010年12月26日(日)山瀬さん

今日、日本のIFEスタッフの山瀬さんがジャパンハウスにいらっしゃいました。山瀬さんは日本のIFEで、ベナンの観光情報を担当されている方です。これまでも何度か自費でベナンを訪れ、自分の足でベナンについていろいろと調べてくださっています。ベナンのガイドブック「ベナンへ行こうよ」を作ってくださったのも、山瀬さんです。

今回は年末の休みを利用して、「1週間でベナン旅行」を試験的に行ってみるとのこと。アボメーの遺跡を中心に回り、29日の朝にはベナンを発つという強行スケジュール。もちろん、バスの予約やら移動も全部自分で手配し、調査も通訳なしでしてしまいます。まったく頭が下がります。

普段は高校の英語の先生をされている山瀬さん。山瀬さんの生徒はきっと面白い話をたくさん聞かせてもらえるんでしょうね。

藤波

2010年12月30日(木)問題

ベナンはいろいろな問題を抱えています。でも問題の数なら日本も負けていないような気がします。それぞれの国に合った解決方法があるんだろうと思います。例えばベナンの場合だと、他の国から少しお金や技術を援助してもらう、というのもひとつの問題の解決方法になるわけです。その援助の仕方について、最近少し考えています。

小学生問題というのは常に一面的ではなく、多面的です。例えばベナンの教育問題にしても、まず学校がないことは問題ですが、学校ができてもいい先生がいなかったら意味がありません。それ以前に、子どもが学校に行けなかったら何の意味もありません。なぜ子どもが学校に行けないかと言うと、子どもは重要な労働力だからです。また、単純にお金がなくて子どもを学校に通わせられないというケースもあると思います。親の考え方から変えなければならないというケースも出てくるかもしれません。そう考えると、ただ学校を作ったのでは意味がないわけです。もっといろいろな面からアプローチしないと根本的な解決には結びつかない。しかし、ひとつの団体だけで全部をフォローするのはとても大変です。途上国を支援する際に、いろいろな団体がいろいろなことをします。例えばIFEのようなNPO・NGO団体があります。JICAのような団体もあります。政府開発援助(ODA)のように政府のお墨付きを得て企業が援助に乗り出す場合もあります。ただ、それぞれが単発で何かをしても、あまり効果が上がらないことがあります。そういう時にそれぞれの団体が連携して、ひとつの問題に多角的に取り組めたらいいのになと思います。そうでないと、結局は援助する側の自己満足で終わってしまうのではないかと思います。途上国に対する援助にどれだけ力を入れているかは、ODAの総額や、人をどのくらい派遣しているかで決まるわけではないということが最近分かってきました。要は質の問題なのです。もっと互いに協力すれば少ない金額でいろんなことができるんじゃないかな、と思います。

写真は学校へ向かう小学生です(コトヌー市内)。

藤波

2010年12月31日(金)今年もお世話になりました

山羊の解体ベナンに来て、2度目の大晦日です。

ベナン時間の午後4時ごろ、NHK Worldで日本の年明けの様子が中継されていました。日本各地の神社やお寺の様子がテレビ画面に映し出されました。北陸や東北、北海道では雪が積っていて、とても寒そうでした。

やっぱり大晦日や正月は寒いほうがいいなと思いました。ちなみにベナンの今日の昼間の気温は34度でした。

さて、今年のたけし日本語学校はいろいろな変化がありました。具体的には、学校としての方針の変更が一番大きな変化だったと思います。

今までのたけし日本語学校は、「日本の文化に親しみながら日本語を学んでもらう」という趣旨でした。しかし徐々に「人を育てる学校」に変わりつつあります。来年からは通常コースに加えて、人材を育てるためのコースもスタートする予定です。ベナンと日本、双方のことをよく考え、自分の意見を持てる人を育てようというわけです。教師側もちょっと大変ですが、頑張りたいと思います。

個人的には、来年もひとつひとつの授業を丁寧にやっていきたいと思っています。「伸びている」という感覚をできるだけ多くの生徒に味わってもらうことが来年の目標です。

写真は、正月に食べる山羊を解体しているイレネさんです。

藤波

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