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お便り 91 - 2月後半
藤波先生 編
2011年2月16日(水)産業支援プロジェクト
1月にベナンに到着され、私と市川先生と一緒にジャパンハウスでに生活されている加藤さん。加藤さんのベナンでのお仕事は日本のIFEが中心になって進めている産業支援プロジェクトのプロジェクトリーダーです。現在はシアバターのプロジェクトを中心に活動されています。
産業支援プロジェクトは、ベナンに産業を根付かせるという目的があるので、ベナンから日本へ輸出できるものや、ベナンが輸入に頼っているものを自国で生産できるようにする、というのがプロジェクトの具体的な内容になってきます。加藤さんはいつも町をご自分の足で歩き、新しいビジネスの「種」を探しているようです。
今たけし日本語学校にはリーダー育成を目的として開講されている「育成クラス」というクラスがあります。
当面の目標は他人の意見や、文章に触れ、ポイントをつかみ、問題点を探すことです。現在は各自が自分の夢や目標についてまとめ、プレゼンテーションをしているところです。このプレゼンテーションには、加藤さんにもアドバイザーとして参加していただいています。実際、すでに2人の生徒のプロジェクトは、実現できる可能性が高いものとして加藤さんのお墨付きをいただき、加藤さんとの話し合いも進められています。生徒にとっては、チャンスがひとつ増えたことになります。もちろん、加藤さんの目にとまるプロジェクトは一握りです。そういうプロジェクトを考えられる生徒は真面目に粘り強く今まで取り組んで来て、プランを練ってきた生徒です。
加藤さんのお話をうかがっていて思うことは、ベナンに住んでいる人と日本に住んでいる人とでは、アフリカに対する認識が全然違うということです。日本に住んでいる人はアフリカの現状がわかりません。もちろんそれは悪いことではなく当り前のことです。アフリカの現状を日本側に正確に伝えるのは本当に難しいそうです。違う文化の中で暮らしている人たち同士が何かを共有するというのは、途方もなく難しいことだと思います。それはベナン人と一緒に仕事をしているわたしも毎日感じていることです。異文化の中で仕事をする時は、そのギャップを埋めるという作業をいかに楽しめるかが大切なことなのだと思います。
藤波
2011年2月20日(日)ココさんとセポンさん、お帰りなさい。
去年の2月から東京と北海道の花畑牧場での畜産研修を行っていたココさんとセポンさんが、今月のはじめにベナンに戻ってきました。そして、今日からたけし日本語学校の授業に二人揃って復帰しました。
ココさんは牧場での仕事で体が一回り大きくなっていました。もともと日本語のレベルは高く、難しい漢字もたくさん知っていたココさんですが、やはり1年間の日本での生活は、彼の日本語力に大きな影響を与えたようです。自然な言い回しや、文と文をつなぐ表現が豊富になり、より自然で正確な日本語になっていました。
セポンさんは年齢は60歳を超えていますが、いつもとても元気で、クラスのムードメーカー的な存在です。セポンさんの日本語もとても正確なものになっていました。話すスピードは決して速くありませんが、1年間で着実に日本語の知識を積み上げてきたのがよくわかりました。セポンさんは小さい字が見づらいので、学校でプリント類を配る時は前任の山下先生もセポンさん用のフォントの大きいものを準備していました。私も早速セポンさん用のプリントを用意しました。これからはセポンさん用のフォントの大きいプリントを準備しなければならないということが、何だかうれしく感じられます。
セポンさんもココさんもたけし日本語学校創立時からの生徒です。まさに努力が実って日本へ行くことができたということです。でも2人にはこれから大切な使命があります。日本での研修を、ベナンの畜産業発展のために生かさなければなりません。日本での生活も大変だったとは思いますが、これから生活も2人にとってはチャレンジの連続になるのではないでしょうか。
藤波
2011年2月21日(月)大統領選挙
今年は大統領選挙の年です。投票日は3月6日の日曜日です。町の中にも選挙のポスターが目立つようになりました。選挙ポスターの貼り方にルールはないようで、いろいろなところにベタベタと貼ってあります。しかし、ポスターのデザインは日本のものよりもおもしろくて、政党やその人の個性が感じられます。選挙と言うと、対立する政党の支持者どうしの争いで、治安が悪化するようなイメージがありますが、ベナンは今のところ平和です。
現在、立候補者は14人です。大統領選挙に14人というのは、日本人の私にとってはちょっと驚きの人数なのですが、名前を売るために立候補する人も当然いるようで、立候補には候補者それぞれの理由と目的があるようです。
最有力は現職のヤイ・ボニ大統領(ゾマホンさんはヤイ・ボニ大統領の特別顧問を務めています)と、UNという政党のフンベジ氏です。フンベジ氏の支持基盤はベナン南部らしいので、コトヌーやポルトノボ(フンベジ氏の地元)ではUNの勢力が強いようです。巷では、50%以上の票を獲得できる候補者はいないのではないかという見方が主流のようです。その場合、後日決選投票が行われるそうです。
ゾマホンさんも票集めに奔走しています。果たして、結果やいかに。
藤波
2011年2月27日(日)無農薬の安全な野菜を作りたい
たけし日本語学校の初級3土日クラスにダデさんという生徒がいます。まだ大学生の若い生徒です。
彼の夢はベナンに自分の農園をつくることです。そしてその農園で無農薬の野菜を作り、安くて安全な野菜をベナン人に提供したいそうです。
今、育成クラスでは各自が自分の夢と目標について発表しています。今日はダデさんが発表する番でした。彼は原稿を暗記し、他の生徒の質問にもきちんと答えていました。教師の立場としては、彼のような生徒に何とか日本に行ってもらいたいと思います。彼のプランには農業が専門の加藤さんも一目を置いてくださっているようで、今後もいろいろとアドバイスをして下さるようです。
彼は今大学で農業の勉強をしています。しかし、ベナンの大学では理論は学べても技術は学べないそうです。だから日本へ行って農業を勉強したいのだそうです。そう遠くない未来に、彼が日本へ行くチャンスがあるかもしれません。私達がベナンにいる間に、彼のために出来る限りのことをしたいと思います。
藤波
2011年2月28日(月)投票日まであと一週間
大統領選挙の投票日まであと1週間です。ベナンの選挙活動は、主に候補者が国内の各地に出向いて集会をし、そこで自分の意見を話すのがメインのようです。日本のように街宣車に候補者が乗って町の中を回ることはあまりないようです。選挙のシステム自体が違うので当然と言えば当然ですが。候補者が乗った街宣車がいないかわりに、候補者のポスターを張ったベタベタと車体に貼りつけた車はよく走っています。
以前のベナンの選挙では不正が多かったようです。以前ベナンはアフリカの手本と言われている、というようなことをこのブログ上で書きましたが、それでも他のアフリカ諸国よりはだいぶましというだけで、不正はいろいろとあるようです。例えば同じ人が何回も投票所に行ったり、隣国から人を連れて来て投票させたり(これはあくまで噂です)・・・。というわけで今回は不正をなくすために、まず選挙前に国勢調査を実施し、さらに選挙前に役所でひとりひとり写真と指紋をとり、選挙カードを発行してもらった人だけが投票できるというシステムになりました。その登録のために最近市役所には長蛇の列ができています。何でも登録の作業にはものすごく時間がかかるそうです。何はともあれ、公正な選挙に向けてベナンは進んでいます。
今日、いつものコピー屋に行って、店員のお姉ちゃんと少し話をしました。彼女は23歳です。当然投票に行くものだと思って聞いてみたのですが、何と投票には行かないとのこと。その理由を聞いて私は驚きました。彼女は国勢調査の担当者が家に来た時に自宅にいなかったのだそうです。担当者が訪問した際に家にいない人は登録されないそうです。つまり彼女は、居住地が明確に登録されていない状態です。そういう人には選挙権がないらしいのです。当然といえば当然ですが、担当者が訪問した時にいなかったら登録してもらえない国勢調査って一体・・・。そしてこの国勢調査が選挙までに終わるかどうかが最近は問題になっているようです。調査が終わらなかったら選挙は延期なのでしょうか。生徒曰く、延期の可能性も若干あるとのこと。果たして、選挙は行われるのでしょうか。
藤波
1 コメント
M.Yoichi YOSHIDA
ココさんセポンさんと帯広JICAセンターで研修しました。研修管理員の吉田陽一です。勤勉で、辛抱強く、病気ひとつしなかったふたりは、並々ならぬ努力を重ねて、頑張ったのでしょう。いま私は近くのカメルーンにいます。ふたりが元気で活躍するよう応援しています。ヨシダ ヨウイチ
J'ai travaille avec les deux hommes benois au Centre de la JICA a Obihiro lors du Stage a la ferme Hanabatake. Au debut d'arrivee a Obihiro en plein hiver de fevrier, nous avons fait des achats a 100 yen-shop. Vous etiez toujours diligent, patient et costaud admirable. Je suis a Yaounde au Cameroun, pas loin de vous. Je vous souhait une bonne continuation de cours japonais,
ainsi que l'activite professionnele.
Ecrivez-moi ce que vous faites ces derniers temps a M.Yoichi YOSHIDA
A bientot,
Yoichi YOSHIDA