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NPO法人IFE

日本語教師の窓

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お便り 59 - 10月後半

藤波先生 編

2009年10月17日(土)ベナン人の宗教感

今週、私が担当しているRクラスの生徒二人が日本へ向けて出発しました。といっても留学や就職ではなく、彼らが信仰している宗教団体の本部が日本にあるらしく、今回はそこに海外からたくさんの信者が集まって、大規模な集会が開かれるらしいのです。まだ二人の日本語は初級の最初の段階ですが、それでも今まで勉強した日本語で、日本人とたくさん会話して帰ってきてほしいなと思います。滞在期間は約3週間の予定だそうです。

ベナン人にとって宗教は、生きていく上でとても大切な要素の一つのようです。おそらく大多数の人が何らかの宗教を信仰しています。一番多いのはキリスト教、これはフランス支配が長かった影響だと思われます。それからイスラム教も多いです。ラマダンの期間中はイスラム教信者のことが何かと話題になりますし、ラマダンが終わる時には、大規模なお祭りが催され、テレビでも中継されます。あとは今回のRクラスの生徒のような宗教団体に所属している人もいますし、仏教の信者もいるようです。今タームから新しく始まったUクラスの生徒の中に日蓮宗の信者がいて、彼の話だとコトヌー市内に道場があって、毎日のようにそこで「お勤め」をしている信者がたくさんいるらしいのです。これは、近いうちに行ってみねば、と思っています。
とにかく宗教は大切なのです。ベナン人にとって。もちろん全員が必ず何かの宗教を信仰しているというわけではありません。あまり宗教には興味がないという生徒もいますし、OPクラスのフィルメンさんのように、一週間ごとにキリスト教徒になったりイスラム教徒になったりする人も時々います。ですがおそらくそういう面白い人は例外中の例外で、基本的にみなさん、ひとつの宗教を信じています。授業中に「昨日何をしましたか」と質問すると、「神様に祈りました。」という答えがよく返ってきますし、「神様に感謝します。」という言葉もよく聞きます。

ちなみにベナンの土着の宗教はブードゥー教です。この宗教は、人間の力では説明できないもの、つまり自然を神様として崇めています。ですから日本の神道のように、火の神様や水の神様、山の神様など、いろいろな神様が存在する、とても興味深い宗教です。しかしながら、あまりブードゥ教のみを信仰しているという人は見かけません。ブードゥはあまり好きじゃないという人もいます。でも、ブードゥーの教会はいたるところにありますし、いわゆる司祭のような人もちゃんといます。
ブードゥ-はベナン人の中にちゃんと生きていて、葬式の時には、午前中はキリスト教式の葬式、午後はその土地のブードゥー教式の葬式をする、というようなことが普通に行われているらしいです。ブードゥーは、ベナン人にとって特別な存在なのです。

日本人の宗教感とベナン人の宗教感は少し違いますが、土着の宗教を特別視して守っているという点においては共通しているようにおもいます。

藤波

2009年10月19日(月)お願いだからけんかはやめて・・

私の周りにいるベナン人は、その時の自分の感情を正直に表に出す人が多いです。例えば、元気な時の声量を10とすると、朝寝起きで機嫌がわるい時の声量は1以下になります。さらに、元気な時はよく歌い踊りますが、元気じゃない時、及び不機嫌な時は動かず、一言もしゃべりません。結構見ていておもしろいです。日本人は、大変な時もそんな素振りを見せずに気丈に振舞う人が好まれたりしますが、ベナンの人はあまりそういう感じではありません。もちろん、私が親しいベナン人を見ていて感じることなので、一般化はできませんが。でもとにかく、外から見ていてわかりやすいです。
私は相手の機嫌が悪い時や元気がない時、思わずその人に気を使ってしまったりするので、時々疲れます。でも慣れてくると、この人今日は元気がないな、と一発でわかるというのは便利だったりもします。

ベナン人はとても穏やかな人が多いと思いますが、このように自分の感情をはっきり表に出すので、意外としょっちゅう喧嘩します。よく道端で、大声でおばちゃん達が言い合いをしているのをみかけます。
うちのドライバーのイレネーさんも、若干瞬間湯沸かし器の傾向があります。普段は、なんだか動きも性格もグニャグニャしているのに、車で路上に出るとクラションをならしまくり、隣の車や割り込んできたバイクに罵声を浴びせかけます。罵声を浴びせかけられた側も負けじと言い返してきます。見ている分にはおもしろいです。

今日はイレネーさんとトスさんがけんかしていました。トスさんは怒りっぽいわけではないのですが、まじめで気難しい所があるので、時々このふたりはぶつかります。グニャグニャのイレネーさん対気難しいトスさんの戦いは、どちらにもそれなりの言い分があって、これまた見ている分にはおもしろいです。巻き込まれると少々厄介ですが・・。
でも、時々けんかはするけれど、基本的にはみんな仲良しです。これがまたおもしろいのですが、あまり根に持ったりすることはないようです。しょっちゅう喧嘩するけど基本的には仲良しというのは、なんだかとてもいい響きですね。でも、やっぱり巻き込まれると厄介です。やはり喧嘩は外から見てるのにかぎります(笑)

藤波

2009年10月21日(水)NPOコンテスト

NPO展示会1今週の月曜日から今日まで、ジャパンハウスの近くにあるスタジアムでNPOの展示会が開かれました。ベナン国内の各地から、さまざまなNPOの団体が集まって、与えられたブースで展示をし、活動内容や展示が評価されたグループには賞金が出るというなんとも魅力的な展示会です。もちろんIFEも参加しました。なんとIFEは昨年3位入賞という輝かしい経歴を持っており、今年も入賞、あわよくば優勝して賞金・・という期待も膨らみましたが、残念ながら今年は入賞することができませんでした。準備から運営まで全てを仕切ってくれたトスさんと、お手伝いに来てくれた生徒の皆さん、お疲れ様でした。

NPO展示会2さて、期間中、他のNPOのブースも見学して歩いたのですが、ベナンには様々な種類のNPOがあることがわかりました。親を亡くした子供のために活動している団体や、ゴミ問題に取り組んでいる団体、女性の地位向上のために活動している団体など、実に様々な団体が集まっていました。中には、NPOなのにしっかり商売をしてる団体や、一週間に2回飲むだけで記憶力が飛躍的に向上するという怪しげな薬を売っている団体もいて、結構おもしろかったです。

こういう団体を見ていて、ベナンの現状に対する問題意識をしっかり持って、しかも解決のために動いている人たちがたくさんいるんだなと少し驚きました。やはり、その国の問題を解決するのは外国人ではなくその国で生まれ育った人たちなので、こういう活動がどんどん広がっていけばいいなと思いました。

藤波

2009年10月23日(金)大人のふりかけ

おとなのふりかけ今日の晩ごはんは、ご飯とおとなのふりかけです。
山下先生と寺嶋さんと私で、涙を流しながら食べました。ベナンに来て、麺つゆとふりかけの偉大さに気付きました。写真はふりかけを食べて喜びの声をあげている山下先生と寺嶋さんです。

藤波

2009年10月29日(木)土砂降り

今日は昼からすごい土砂降りでした。自分は今滝の真下にいるのかと錯覚してしまうほど、ものすごい雨でした。私は台風以外で、これだけすごい雨に出会ったことがありません。

今日は昼からQクラスの授業がありました。雨は授業の少し前から降り始めたので、おそらく今日は誰も来ない(来られない)だろうなと思っていましたが、なんと生徒が2人も来ました。もちろんずぶ濡れで。その根性に少し感動しつつ授業を始めたのですが、雨の音がうるさくて全く声が聞こえません。たけし日本語学校は窓がないので、強い雨が降ると、雨音で声が通りにくくなります。今日は特にひどくて、私が絶叫してもほとんど生徒に声が届かないような状態でした。そこで通常の授業はあきらめ、声を出さなくてもできる漢字の授業に切り替えて、1時間以上ひたすら漢字の勉強をしました。漢字の授業中も、教室内のテレビが雨にぬれないように場所を移動したり、とにかく雨対策に追われながらの授業でしたが、何とか1時間半の授業を終わらせることができました。
授業が終わる頃になって、雨はようやく小ぶりになりました。その時を見計らって、2人の生徒は帰っていきました。

もう10月も終わりで、大乾季も近づいてきているこの時期に、これだけの大雨が降ったことに私は驚きました。最近の雨は、雨季の頃の雨よりも短期間に集中的に降る雨が多くなりました。これもおそらく季節の変化のひとつなのでしょう。最近は雲や雨の降り方から、季節の変化が目に見えてわかります。天気の傾向として、日本の夏の天気に似てきたような気がします。これはそろそろ本格的に暑くなるというサインなのでしょうか。

藤波

2009年10月30日(金)海

ビーチ今日は、山下先生と寺嶋さんと私とドライバーのイレネーさんで、近所のビーチへ遊びに行きました。普段ジャパンハウス周辺からほどんど外に出ることがない私達にとって、片道30分弱の海への道のりも結構楽しいドライブでした。
ただビーチに行くだけではおもしろくないので、ピクニック気分でおにぎりを持って行くことにしました。ジャパンハウスの飯炊き職人寺嶋さんがタイ米をまるで日本米のようにふっくらと炊きあげ、それを山下先生と私がにぎるという見事な分業体制のもと、約10個のおにぎりが完成しました。

おにぎりとイレネーさん金曜日恒例の買い出しの後、いよいよ海へ向けて出発。天候はほぼ快晴。絶好のピクニック日より。コトヌーの町の中心部から10分ほど南西方向に走ると、もう海です。
ビーチには誰もおらず、貸し切り状態。このビーチには、よくヨーロッパ人もバカンスにくるので、浜辺にジュースや簡単な食べ物を出す店が少しあります。そこでコーラを買い、いよいよおにぎりタイム。日本からのお客様がお土産に持ってきて下さったふりかけをおにぎりの上にふりかけ、パリパリの海苔を巻いて、タイ米のおにぎりをいただく。目の前には余計なものが何もないただの海。空は抜けるような青空。波の音以外は何も聞こえない。言うことなしです。4人(イレネーさん含む)で、「おにぎりうまい!」を連発し、ふりかけとのりとごはんの偉大さに感謝しつつ、おにぎりを食べました。

ごはんの後は、波打ち際で少し遊んで帰るつもりだったのですが、いたずら好きのイレネーさんのせいがそんな生ぬるい行動をゆるすはずもなく、結局ジーパンがずぶ濡れ状態になるまで波と戯れました。時間的には1時間半くらいでしたが、久々に外で遊んだ!という感じで、とても楽しかったです。

写真は、遊びに行ったビーチと、おとなのふりかけをおにぎりにかけているイレネーさんです。

藤波

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